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改めて知る農薬の危険性-セラリーニ教授講演会

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セラリーニ教授講演会「科学者とシェフが語る遺伝子組み換え食品と農薬の危険性」渋谷ウィメンズプラザ 令和元年10月31日IMG_0564遺伝子組み換えとうもろこしをねずみに食べさせ巨大な腫瘍ができた実験(詳細はこちら)で有名な、フランス、カーン大学のセラリーニ教授の講演会に行ってきました。

セラリーニ氏はもともと毒物の研究をされており、赤ちゃんの細胞の中から検出されるさまざまな毒物のひとつとしてラウンドアップ(遺伝子組み換え作物に使用されることの多い除草剤)の成分を発見したことから、遺伝子組み換え作物の毒性について興味を持ったのだといいます。そのため、講演も遺伝子組み換えそのものよりは、農薬の毒性についての話が中心でした。

赤ちゃんの細胞の中からは、自動車の排ガス、農薬、PCBなど工業用の化学物質や、ダイオキシン、重金属など、石油からつくられたさまざまな化学物質の残留物が検出されますが、それらは細胞内の情報伝達を阻害するとともに、細胞の表面に付着することで細胞間のコミュニケーションも阻害してしまうといいます。

そして細胞間のコミュニケーション能力と反比例するようにして、免疫疾患、ガン、内分泌疾患、神経疾患、奇形などが増加してきており、その背景には上記のようなさまざまな化学物質や重金属などの汚染を人類が食や空気を通じて摂り込んでしまっている現状がある、とのお話でした。

また、除草剤ラウンドアップの主成分がグリホサートという物質であることは有名ですが、純粋なグリホサートを植物にかけても枯れない(よほど大量にかけない限りは)という話は意外でした。ラウンドアップに占めるグリホサートの割合は41%で、残りの59%は何なのか、発売元のモンサント社(現バイエル社)は明らかにしていません。セラリーニ氏によれば、石油残渣由来の有毒元素であるヒ素など、さまざまな成分が含まれているとのことで、純粋なグリホサートと比較すると、ラウンドアップは暴露時間によっては、10万倍も毒性が高いのだそうです。

講演後の質問で「グリホサートは毒性があまりないのに、なぜグリホサートを主成分としているのですか?」というものがありましたが、それに対するセラリーニ氏の答えは「グリホサートを前面に出さないと特許が取れないから」というものでした。たしかにヒ素だけでは特許は取れない(というか、そもそもヒ素を農薬として使うことは既に禁止)ので、何か目新しい成分がなければ、特許によって利益の独占が図れないから、ということなのでしょう。こんなところにも、現代の大企業の本質としての利益至上主義が表れていると感じました。

セラリーニ氏と一緒に講演したジェローム・ドゥーズレ氏はオーガニックの食材を使った料理を提供するシェフ。セラリーニ氏はドゥーズレ氏が農薬の味を感じられるかどうか、コップの水を5杯用意し、そのうちに何杯かには農薬をごくごく微量(水道水に混入が許容される分量のさらに千分の一くらい?)入れ、ドゥーズレ氏に味見をしてもらったことがあるといいます。いくつのコップが農薬入りなのかさえも教えなかったにもかかわらず、ドゥーズレ氏は5分も経たないうちに、正確に農薬が入った水と、そうでない水とを味覚によって判別しました。

野菜などに農薬がかかっているかどうか、練習すれば舌で弁別できるようになる、と彼らは言います。できない人には、信頼できるオーガニックの農家から買うことをすすめます。(わたしは最初からそれでいいと思いますが!笑)

農産物の中ではワイン用のブドウで特に農薬の残留汚染がひどく、ワインの成分を分析すると、特定のアロマの成分よりも、農薬のほうが含有量が多い、などということもあるそうです。

ワインを飲む場合も、やはりオーガニックのものを選ぶべきですね。(※ただし、輸入ワインは、ぶどうが有機栽培でも、すべて酸化防止の亜硫酸塩が加えられており、これが頭痛などの原因になることもあります。有機ブドウ果汁を使い、国内で醸造された有機ワインを選ぶようにしたいものです。また現在もっとも問題とされているネオニコチノイド系農薬の基準が日本はフランスに比べてずっと緩いため、果物、野菜、コメ全般に注意が必要です。農薬のかかっていないものを選ぶようにしましょう。)

セラリーニ氏は農薬汚染を健康に悪影響を与えるものとして大変問題視しているため、ねずみに遺伝子組み換えの餌を与える実験をしたときも、対象群(遺伝子組み換えの餌や除草剤入りの水などを与えない群れ)にはオーガニックの餌を与えていたのだそうです。セラリーニ氏を攻撃する人々は、「セラリーニは腫瘍ができやすい種類のねずみをわざわざ選んで使っている」などと中傷しましたが、腫瘍ができるのは一般的な餌(農薬成分を含んでいる)を与えるからだ、とセラリーニ氏はいいます。一般的な実験では、一般的なネズミ用の餌を与えるわけですが、その原料の農産物には農薬がかかっています。同じ種類のねずみでもオーガニックの餌を与えれば、腫瘍ができることもほとんどない、とのこと。これはこの講演で初めて知ったことです。農薬の健康への悪影響を改めて確認することができました。

また、体内に摂り込んでしまった農薬や重金属などの汚染物質をどうやって排出したらいいかについての言及もありました。一番いいのはハーブを摂ること。彼らが試した中ではタンポポが一番効果的だったそうですが、その土地にその季節に生えている野草であればなんでもよい、とのことで、マクロビオティックでいう「身土不二(その土地の環境と人間の体とは切っても切り離せない一体のものである)」の理念をセラリーニ氏もドゥーズレ氏も大切にしていることがわかりました。

「タンポポでも、ニンニクでも、玉ねぎでもいい」とのことでしたので、必ずしも野草でなくても、香味野菜(しょうがなど)や、辛みのある野菜(ネギ類、大根など)もこれに入るでしょう。

食用可能な植物は世界に3万種ほどあるそうですが、たった30種の主要農作物でわたしたちはカロリーの95%までをまかなっているといいます。その主要農作物から外れたさまざまな植物を摂ることが、わたしたちに足りないものを補い、さらには有毒物の排出をも助けてくれるのではないでしょうか。

にんにく、しょうが、玉ねぎ、長ねぎ、にら、らっきょう、大根、ルッコラ、しそ、茗荷などに加え、時にはよもぎ、のびる、つくし、すべりひゆなどの野草を摘んで食べてみるのもおすすめです。

講演の最後の質問で「モンサント社などからの攻撃で身の危険を感じることがあっても、それでもこうして活動を続ける理由は?」と問われたセラリーニ氏。「わたしには子どもがいます。孫もいます。ドゥーズレ氏にも子どもがいます。わたしたちは子どもたちのために活動します」と答えてした。

政府に頼っても無駄。自分たち自身で自分たちの健康を、そして子どもたちの未来を守っていきましょう。

「農薬不使用の野菜やお米を選ぶのが、健康づくりの基本です。近所で売っていない、という人は宅配などを利用しましょう」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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