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食後眠くなるのは低血糖!? のウソ

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先日SNSで「食後に眠くなるのは低血糖のせい。そういう人は糖質を減らしましょう」というような投稿を見かけました。

え!?と驚いてちょっと検索してみると、SNS上では似たような記述が結構な数見られることがわかりました。これにはさまざまな間違いが含まれていますので、ここで指摘しておきたいと思います。

①低血糖で眠くなることはまずありません

低血糖の典型的な症状は、疲労感、イライラ、思考力低下、寒気など、不快感を伴う症状です。気持ちのよい眠気はこれらとは相容れません。低血糖症のわたしですが、低血糖時に眠くなるという経験をしたことがありませんし、そんな話を聞いたこともありません。

②食後すぐに低血糖になることはありません

SNSでは「血糖値が一旦高くなることによってインスリンが大量に分泌され、そのせいで今度は逆に低血糖になる」と説明されていましたが、普通のバランスのよい食事をした後でこのような現象が起こることはあり得ません。このような現象(血糖値が急激に上がった後で急激に下がる)を「反応性低血糖」といいますが、それが起こるのは、甘い飲み物だけを飲んだ後、あるいは甘いお菓子だけを食べた後などに限られています。

砂糖の99%以上は「ショ糖」ですが、ショ糖はブドウ糖と果糖の分子がひとつずつつながってできています。体内の消化酵素で分子のつなぎ目を一カ所分解するだけで、すぐにブドウ糖になるのです。血糖とは血液中のブドウ糖を指します。つまり、砂糖はすぐにブドウ糖に変化して吸収され、血糖になるわけで、きわめて血糖値を上げやすい食品なのです。

同じ糖質でもご飯はまったく違います。ご飯の主成分である「でんぷん」はブドウ糖の分子が何百も連なってできていますので、体内で消化酵素がそれを一つ一つ分解してブドウ糖にするまでには時間がかかるのです。そのため、血液中にはブドウ糖が少しずつ持続的に供給され、血糖値はゆるやかに上昇し、またゆるやかに下がっていきます。

 

砂糖の場合はすぐに血糖値が上がってしまいますが、高血糖状態は血管を傷つける原因となり、望ましくありませんので、体はこの状態を急いで解消しようとします。そこで、膵臓から慌ててインスリンを分泌し、血糖値を下げようとします。しかし、砂糖は消化吸収が早すぎるため、血糖の供給はすぐに途絶えてしまいます。そして分泌されすぎたインスリンのせいで今度は逆に低血糖が起こってしまうのです。

このような反応性低血糖は、「75gブドウ糖負荷試験」でときどき見られる症状です。これは75gのブドウ糖を溶かした水溶液を飲んで、その後の血糖値の動きを見るというもの。つまり、砂糖以上に消化吸収のいい、すぐにそのまま血糖として利用されるブドウ糖だけを摂取する検査です。ブドウ糖が一挙に大量に供給され、その後の供給は途絶えてしまうのですから、高血糖とその後のリバウンドで低血糖が起こるのも無理はありません(それでも膵臓の働きの良い人は低血糖が起こりません)。

この「75gブドウ糖負荷試験」時の(あるいは甘い清涼飲料水を大量に飲んだ後の)反応性低血糖が、バランスのよい食事の後で起こることはあり得ません。ご飯のでんぷんは砂糖と比較して少しずつ持続的に血糖を供給しますし、たんぱく質や脂質はさらにゆっくりと血糖を供給するからです。

③食後にはむしろ高血糖になりがち

当たり前ですが、食後に起こりがちなのは低血糖ではなく、高血糖です。食事前の正常な血糖値は100mg/dl程度。健康な人は食後でも血糖値が140mg/dl程度までしか上がりません。しかし、それよりもグンと血糖値が上がってしまう人がいて、グラフにすると食後の血糖値曲線がスパイク状に跳ね上がることから、「血糖値スパイク」と近年呼ばれるようになりました。血糖値スパイクのある人は、血糖値のコントロールがうまく行っていないことから、将来糖尿病になる可能性が高いと考えられています。

④高血糖でも眠くはならない

食後に眠くなるのは高血糖のせいであると考えている人もいるようです。しかし、高血糖時に本人がそれを感じるかというと、実は自覚症状はまったくない場合がほとんどです。それが高血糖の怖いところだともいえます。糖尿病になり、血糖値が300~400mg/dlもいくような場合には、喉の渇きや倦怠感などがでてきますが、血糖値スパイクが250mg/dlある程度では、何の自覚症状もないのです。

⑤眠くなるのは胃腸に負担がかかっているから

眠くなるのは単純に胃腸に負担がかかり、血液が胃腸に集中して、脳の血液が不足するから、と筆者は考えています。「食べ過ぎ(量が多すぎる)」または「早食い(よく噛まずに食べている)」が主な原因と考えられます。人類は太古の昔から飢餓を何度も経験しているため、ヒトの体は飢餓には対応できても、食べ過ぎには対応しにくくできています。そのため、十分な量を食べてから、実際に満腹中枢に信号が送られるまでに、タイムラグがあるといわれます。よく噛んで食べると、食べるのがゆっくりになり、タイムラグの間に余分に食べてしまう量を減らすことができ、結果的に食事量を抑えることができます。ぜひよく噛んで食べる、少食にとどめる、ということを心がけてみてください。食後の眠気はなくなるはずです。

⑥糖質はクリーンエネルギー

②の項でも書きましたが、同じ糖質でも砂糖やブドウ糖のような「糖分(=単糖類または二糖類)」と、ご飯の主成分である「でんぷん(単糖が数百個以上連なっているもの)」とでは、体への働きが大きく違います。ご飯は昔から日本人の主食であり、体への負担の少ないクリーンエネルギーです。糖質制限ダイエットが流行っていますが、糖質を減らしてたんぱく質を増やすことは、将来的にさまざまな健康問題を招く可能性があります(詳しくは別の記事に書きましたので下部のリンクをご参照ください)。体質や運動量などいろいろ個人差がありますが、ごくおおざっぱにいって、1食につきご飯を150g程度なら食べてもまったく問題ありませんので、減らし過ぎないよう注意しましょう。

「糖質を敵視するのは禁物。よく噛んで食べる、少食にする、これこそがとっても大事なことなんです!」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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