BLOG

問題だらけの糖質制限ダイエット -4.たんぱく質の食べ過ぎでガンに!?

Pocket

問題だらけの糖質制限ダイエット

第4回-たんぱく質の食べ過ぎでガンに!?

人間の体の中では毎日のように微小なガンが発生し、大部分は免疫細胞に攻撃されて消えていきます。

ガン細胞(中央)を攻撃する免疫細胞 (写真出典:動画「免疫を探る」NPO法人科学映像館より)

発がん性物質としては、カビ毒、魚の焦げ、タール色素など、さまざまなものが知られており、気を付けている人もいるかと思いますが、では発生したガンを成長させる因子は何なのかについては、ほとんど知られていないのではないでしょうか。
『葬られた「第二のマクガバン報告」』(T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル著)は、ガンの成長を左右する最大の要因は、たんぱく質の摂取量であると主張しています。
カビ毒から抽出される発がん性物質であるアフラトキシンをねずみに与え、まず病巣を発生させておいてから、ねずみを2つのグループに分け、一方には低たんぱくの食事(たんぱく質のカロリーが総カロリーの5%)を、もう1方には高たんぱくの食事(たんぱく質のカロリーが総カロリーの20%)を与える、という実験を行ったところ、高たんぱく食のねずみのほうが、ずっと病巣の成長が著しいことが確認されています。

グラフ-食事たんぱくと病素反応状況

発がん性物質(アフラトキシン)によって形成された病巣(やがて腫瘍~ガンに成長していく前駆細胞群)の「病巣反応度(成長促進状況)は、たんぱく質の多い食事のほうがずっと高いことを表しています。 グラフとキャプション出典:『葬られた「第2のマクガバン報告』上巻(図9)

上記の場合には、ねずみが摂取した発がん物質アフラトキシンの量は同じでした。では、アフラトキシンの量に差をつけた場合はどうなるでしょう。発がん物質を多く与えるほどガンは成長するのでしょうか。
この疑問を解き明かすための実験では、まずねずみを2つのグループに分け、一方には高レベルのアフラトキシンを、一方には低レベルのアフラトキシンを与えました。その際の食事は、両グループとも標準的なものとし、まずは病巣の発生を促します。次に病巣の成長を促進する段階では、高アフラトキシンのねずみには低たんぱく食を、低アフラトキシンのねずみには高たんぱくの食事を与えました。高アフラトキシンのねずみにはおそらく病巣がより多く発生していたと考えられますが、それでも低たんぱく食にすることで、病巣の成長はほとんど見られませんでした。逆に低アフラトキシンのねずみは、高たんぱくの食事を摂ることで、病巣の成長が顕著になってしてしまうことが確認されたのです。

グラフ2-食事たんぱくと病素反応状況

高レベルの発ガン物質(アフラトキシン)を与えても、たんぱく質の量の少ない食事では「病巣」はわずかしか発現しません(左側)。一方、投与された発ガン物質(アフラトキシン)の量が少なくても、高たんぱくの食事では「病巣」の形成がめざましいことがわかります(右側)。グラフとキャプション出典:『葬られた「第2のマクガバン報告』上巻(図10)

また、食事におけるタンパク質の比率を少しずつ変えてネズミに与えた実験では、たんぱく質由来のカロリーが総カロリーの10%以上になると、急激にガンの成長が促進されることが確認されています。

グラフ3-異なった食事タンパク質量による病巣成長の促進状況

総摂取カロリーに対するたんぱく質の割合が10%を超えると「病巣の成長度」は急上昇します。グラフとキャプション出典:『葬られた「第2のマクガバン報告』上巻(図11)

たんぱく質は少なすぎれば成長が妨げられてしまいますが、多ければいいというものでは決してなく、多すぎればガンの成長を促してしまいます。しかし、このことは世間ではまだほとんど知られていないようです。一方、がん細胞が通常の細胞の数倍もぶどう糖を消費することはかなり知られるようになってきており、そのせいでガン細胞を増殖させるのもぶどう糖だと勘違いしている人が医師を含めて大多数のように見えます。

しかし、がん細胞を増殖させるのは実はぶどう糖ではなく、アミノ酸であることが別の実験でも確認されています。アミノ酸は、ひらたく言えばたんぱく質が細かくなったもの。たんぱく質は体内で消化され、アミノ酸にまで分解されてから吸収されます。

2016年にJournal Developmental Cellに発表されたマサチューセッツ工科大学の論文によれば、がん細胞に異なる栄養素を与える実験で、ぶどう糖とグルタミン(アミノ酸の1種)とその他のアミノ酸群をがん細胞が大量に消費することが確認されました。しかし、増殖したがん細胞の炭素のうち、ぶどう糖に由来するものは10~15%程度、グルタミンに由来するものは10%程度とごくわずかに過ぎず、大部分はグルタミン以外のアミノ酸群に由来するものであることが明らかにされました。つまり、簡単に言えば、たんぱく質こそがガンを成長させる、ということです。論文の著者の一人であるVander Heiden氏は、「当初は驚いたが、この発見は理にかなっている、なぜなら細胞は大部分がタンパク質でできているからだ」と述べています。
(出典:http://news.mit.edu/2016/how-cancer-cells-fuel-their-growth-0307)
「たんぱく質は体の材料になる」とみなさん家庭科で習った記憶があるでしょう。がんの材料になるのも同じくたんぱく質。つまるところ、たんぱく質こそががんを成長させるのです。(ぶどう糖はがんのエネルギーとして消費されていると考えられます)

こうした事実を踏まえると、ガン予防の観点からは、たんぱく質の摂取はほどほどの量にとどめておくことこそが重要だといえます。ガン予防やガン治療のために糖質制限ダイエットで高たんぱくの食事にするというのはまったくの逆効果であることをよく認識しましょう。

「糖質制限ダイエットが流行り出してまだ10年足らず。
長期にわたる実証がされたわけではありません。
今から10年後、あるいは20年後にがんが多発し、
やっぱり糖質制限は危険だった!
ということになる可能性が大。
将来後悔しないよう、自分の健康は自分で守りましょう」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

健康の悩みを食で解決!
マクロビオティック・自然食のサステナ・フード教室は受講生募集中

マクロビ・自然食のオンライン講座 サステナ・フード通信講座

健康と環境のためのマクロビ・自然食の料理教室とセミナー サステナ・フード教室

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

TOP