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骨を丈夫にする食事と暮らし/牛乳はNG/カルシウム、マグネシウム、ビタミン、運動不足にも注意/マクロビオティックで骨も丈夫に!

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世間一般では骨を丈夫にするには「カルシウムの摂取」そのためには「牛乳を飲むこと」が重要、とされていますね。けれども、牛乳は骨を丈夫にしない、ということを多くの研究者が言うようになってきています。

ほねと牛乳にクエスチョン-m-iStock-924455410

その理由の説明には諸説ありますが、わたしは以下の2つを主たる理由に挙げたいと思います。

牛乳はカルシウムとマグネシウムの比率が問題

骨を丈夫にするためにはカルシウムだけではなく、カルシウムとマグネシウムの比率も重要で、これが1:1~2:1程度がよいとされています。

しかし、牛乳100g中のカルシウムは110mg、マグネシウムは10mg。11:1となり、比率としては決してよいとは言えません。

カルシウムとマグネシウムのバランス-m-

②牛乳は吸収がよすぎるのが問題

牛乳のカルシウムは水に溶けているため、一気に体内のカルシウムイオン濃度を上げてしまいます。カルシウムイオンはアルカリ性ですが、体にはpHを一定に保とうとする機能があるため、慌ててカルシウムイオンを排泄しようとします。そのため、一気にどっと体内に流れ込んだカルシウムは、また一気にどっと体外へ出て行ってしまうと考えられるのです。

◆では何からカルシウムを摂ればいいの?

日本人が伝統的に食べてきた野菜や豆類、海藻などにもカルシウムがたくさん含まれています。一気に飲んでしまえる牛乳と違って、噛んで食べるには時間がかかりますし、それが体内で消化されるまでにもさらに時間がかかるため、カルシウムの吸収もゆっくりになり、持続的に摂り込まれると考えられます。豆類にはカルシウムだけでなく、マグネシウムが豊富に含まれるという長所もあります。野菜のマグネシウムは多くありませんが、それを補ってくれるのが、玄米などの全粒穀物やあわ、きび、ひえ、そばなどの雑穀です。こうした穀物には豊富なマグネシウムが含まれています。主食を玄米や分づき米にしたり、雑穀を混ぜたり、といった工夫で、マグネシウムを補うようにすれば、バランスのよいカルシウム:マグネシウム比が実現できます。日本の伝統的な食事こそが、骨を丈夫にするためにも理想的な食事なのです。

以下は食品ごとのカルシウム、マグネシウムの含有量です。

牛乳(1本200g中に)Ca220mg、Mg22mg

木綿豆腐(1食半丁150gとして)Ca140mg,Mg86g

油揚げ(1食1枚28gとして)Ca86mg,Mg42mg

納豆(1食1パック50gとして)Ca45mg、Mg50mg

枝豆(1食100gとして)Ca58mg、Mg62mg

大根の葉(1食50gとして)Ca130mg、Mg11mg

モロヘイヤ(1食50gとして)Ca130mg、Mg23mg

かぶの葉(1食50gとして)Ca125mg、Mg13mg

水菜(1食50gとして)Ca105mg、Mg16mg

小松菜(1食50gとして)Ca85mg、Mg6mg

菜花(1食50gとして)Ca80mg、Mg15mg

ひじき(煮物1食分、乾物3gとして)Ca30mg、Mg19mg

昆布(味噌汁一杯の出汁、乾物3gとして)Ca23mg、Mg16mg

生わかめ(味噌汁一杯分10gとして)Ca10mg、Mg11mg

焼き海苔(1食全形1/2枚、1.5gとして)Ca4.2mg、Mg4.5mg

玄米ご飯(1食160gとして)Ca11mg、Mg78mg

白米ご飯(1食160gとして)Ca4.8mg、Mg11mg

あわ(仮にあわだけを炊いて主食とする場合、1食乾物で70gとして)Ca10mg、Mg77mg

きび(仮にきびだけを炊いて主食とする場合、1食乾物で70gとして)Ca63mg、Mg60mg

そば(1食乾物で100gとして)Ca24mg、Mg100mg

「一物全体」をキーワードに、食材をなるべく丸ごと食べることを推奨するマクロビオティックの食事は、カルシウムとマグネシウムをバランスよく摂取するためにも大変好都合なのです。

献立例:玄米ご飯(160g:Ca11mg、Mg78mg)油揚げと小松菜の炒め煮(油揚げ1枚:Ca86mg,Mg42mg+ 小松菜70g:Ca119mg,Mg8g)、ひじきれんこん(ひじき3g:Ca30mg,Mg19mg + れんこん10g:Ca2mg,Mg2mg)わかめとねぎの味噌汁(わかめ10g:Ca23mg,Mg16mg + ねぎ10g:Ca4mg,Mg1mg + 昆布3g:Ca23mg,Mg16mg + 麦味噌6g:Ca5mg,Mg3g + 豆味噌3g:Ca5mg、Mg4mg)

合計:Ca308mg、Mg189mg

カルシウムの1日推奨摂取量は18歳以上の女性で650mgですので、1食で半分近くを摂取できることになり、マグネシウムとの比率も良好に保たれることが上記の例からわかります。

◆カルシウムを消耗してしまう砂糖の摂取を避けよう

さとうはダメ-s

カルシウムイオンはアルカリ性であるため、体液が酸性に傾くと、それを中和するために利用されます。体液を酸性に傾ける食べもの……その代表は砂糖です。そのため砂糖を食べるとpHを一定に保つために、カルシウムが使われてしまうのです。体内に存在するカルシウムのうち、カルシウムイオンの形で存在するのはわずか1%。それが足りなくなると、骨や歯などのカルシウムを溶かし出して利用することになります。そのため、砂糖を多く摂る人は、カルシウムをpH調整のために消耗してしまい、骨が弱くなりやすいのです。特に甘い飲みものには砂糖が大量に入っているため、骨にも、全身の健康にも、大きな悪影響を及ぼします。コーラやジュースなどの清涼飲料水はもちろん、砂糖入りのコーヒー紅茶やスポーツ飲料なども極力避けましょう。

◆カルシウムの吸収を妨げる添加物を避けよう

かこう加工食品とリン酸塩-m

加工食品に含まれる添加物「リン酸塩」はキレート作用によりミネラルと結合し、ミネラルの吸収を妨げたり、体内でのミネラルの働きを妨げたりする作用があります。そのため、せっかく食品からカルシウムを摂り入れても、リン酸塩によって、それが無駄になってしまう可能性があります。リン酸塩には下記のようにさまざまな種類があり、食品の原材料欄には化学的な物質名が書かれていることもあれば、用途だけが記されている場合もあります。幅広い種類の加工食品に含まれていますので、骨を丈夫にするためには、加工食品はできる限り避けるのが賢明です。

物質名:ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム 等

用途:かんすい、pH調整剤、粘着剤、膨張剤

含まれる食品:ラーメン、わんたんの皮、酒などの醸造食品、乳製品、魚肉練り製品、ハム、ソーセージ、漬物、水産品缶詰、ケーキ、ビスケット、クッキー

(出典:「日本人の主要ミネラル摂取量変遷と味覚障害について」石川優子)

ビタミンD・ビタミンKも摂り入れよう

ビタミンもまた、骨を丈夫にするのに一役買っています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、ビタミンKはカルシウムを骨に取り込むのを手助けします。そのため、これらを食品から摂取することも有効です。

ビタミンDを多く含む食材

鮭(1食80gとして)25.6μg

さんま(1尾100gとして)15.7μg

きくらげ(1食乾物2gとして)2.6μg

ビタミンKを多く含む食材

納豆(1食50gとして)300μg

ほうれん草(1食50gとして)135μg

小松菜(1食50gとして)105μg

また、ビタミンDは日光を浴びることによって体内でも合成されるため、骨の健康のためには多少は日光浴もしたほうがいいといわれています。直射日光を浴びる必要はなく、木陰でも構いません。1日30分~1時間程度、昼間に屋外で過ごすようにすればよいでしょう。

◆骨にかかる負荷が骨を丈夫にする

「牛乳をよく飲む伯母は肋骨を骨折し、背骨を骨折し、大腿骨を骨折し、とあちこち骨折しまくっているのに、2つ歳下のうちの母は何度転んでも骨折しないの。わたしがほとんど牛乳を飲ませていないからよ」と友人に自慢していたのですが、その母も先日転んでついに大腿骨骨折と相成りました。過信、慢心は禁物です。

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上は、母の手術後のレントゲン写真です。大腿骨の上部で横に張り出した丸っこい部分と棒状の部分の間を「大腿骨頸部」といい、そこが折れてしまったため、折れた先の部分を取り除き、代わりにチタンを差し込んで人口関節としています。「チタンを差し込むために骨の中をくり抜くんですか?」とお医者さんに質問したところ「お年寄りの骨はスカスカなので、くり抜いたりしなくても、ズブズブ入ってしまうんですよ」とのこと。たしかに、レントゲンに映る骨はスカスカです。

通常の関節は骨と骨の間が靭帯でつながっていますが、人工関節にはそれがないので、脱臼しやすいのだそうです。脱臼すれば再手術するしかなくなります。また、手術をすれば歩行能力はどうしても下がります。老人には手術自体が体にとって大きな負担ですし、病院に入院して自分で主体的に用事をする必要がなくなってしまうと、認知能力も急激に低下していきます。とはいえ、手術をしなければ、もう歩くことはできず、痛みも残ります。大腿骨骨折をきっかけに寝たきりになってしまう老人も多いといわれます。老人の生活の質を大きく下げてしまうのが骨折、特に大腿骨の骨折です。そうならないよう、若い頃から十分に注意したいものです。

骨にとって重要なのは食生活や日光浴だけではありません。骨に負荷がかかることで、その刺激によって骨にカルシウムが沈着し、また骨芽細胞も活発になって、骨が丈夫になっていきます。どんなに食生活に気を付けていても、体を動かさなければ骨を丈夫にすることができないのです。そのため、やせている人は、太っている人に比べると、骨密度が低くなりがちだといいます。同じように手足を動かしても、やせていると骨にあまり負荷がかからないためです。

近年の母は体重約30kgと激やせで、若い頃から歩くのが大嫌い。最近は庭にもほとんど出ず、自室とトイレの間くらいしか歩いていませんでしたので、その意味では骨密度の低下は必然だったといえましょう。

サステナ・フード教室の生徒さんで骨密度がすごく高い(平均を100として140台)という人がいますが、その人の職業は看護士さん。食生活に気を付けているうえ、立ち仕事だから骨に負荷がかかるというのも、その理由ではないでしょうか。もちろん彼女も牛乳は飲んでいません。

立っているだけでも座っているよりは、脚の骨に負荷がかかります。また、運動といっても、特別な筋トレなどが必要なわけではありません。一番簡単で確実なのはウォーキングです。骨のためにも全身の健康のためにも、1日最低40分は歩くことを心がけましょう。昼間に歩けば日光浴も兼ねることができてビタミンDも増やせます。

日本の伝統的な食生活と運動の両方に留意し、歳を取ってもずっと丈夫な骨を保ちましょう。

「わたしも痩せ体型なので骨が気になり、体育の日の区のイベントで骨密度測定をしてもらいました。結果はA~Eの5段階で『C』判定。理想のA判定に届かないのはやはり『やせ』と「運動不足』のせいでしょう。ちなみに単身赴任中のつれあいはさらに悪い『D』判定。こちらは野菜・海藻・大豆製品の不足、砂糖入りの飲みもの、ラーメンやソーセージなど加工食品の添加物も原因とみています(何度もやめるよう言っているのですが…トホホ)。つれあいには改めて砂糖や加工食品の害を言い聞かせ、わたし自身に対しては『もっと運動しなくては!』と言い聞かせたことでした」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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