映画「Seed~生命の糧~」の試写会に行ってきました。
20世紀の間に大企業による種子の支配と選択が進み、94%の種子が失われてしまったといいます。映画は、そんな状況に抗い、失われていく在来種を残そうと、世界各地で営々と努力している人たちの姿を描き出します。
タネを慈しむ人々の語る言葉はそれぞれに味わい深いものがあります。
「“ジャックと豆の木”で、ジャックは豆と牛を交換してしまうが、あれは本当は正しい選択なのさ。豆の再生産能力はすごいんだからね」
たしかに牛には餌が必要だが、豆は太陽の光だけで育ちます。
数千種のタネを集めて管理しているという農家は語ります「わたしは神ではない。ノアだ。選ぶのではなく、すべての種子を箱舟に載せる。役に立つかどうかは後世の学者が判断すればよい。」そんな彼も後継者の不在に悩んでいました。
映画には日本のことは出てきませんが、日本でも野菜の品種は激減してしまっています。昔は大根でも茄子でもかぼちゃでも、全国で数十種類の品種がありました。今は市場に出回る大根といえば青首ばかり。三浦大根のほうがおいしいのに。
品種の多様性が減ることの危険性も映画の中では語られています。多様な品種があれば、中には病気に強い品種も必ず存在しますが、2~3の品種しかないと、病気で不作となり、飢饉が起こる可能性もでてきます。ジャガイモの品種が多様だったら、昔アイルランドで100万人の餓死者が出ることもなかったといいます。農作物の品種の多様性が失われてしまった現代は、いつ飢饉が起こるかもわからない危険性をはらんでいるのです。
映画では、アップで映し出されるさまざまな種子の美しさも目を楽しませてくれます。バラエティー豊かな色、模様、形は、まさに自然の芸術。
6歳の誕生日にカボチャの種を欲しがったというタネ&植物マニアの兄弟がアマゾンやカラハリ砂漠などの秘境に出かけていき、初めて見る品種に大興奮している様子などもあり、こちらも見ていて楽しくなります。
映画「Seed~生命の糧~」を見て、自分たちの食べている野菜や穀物のタネのことを考えてみていただければと思います。ほとんどの農家が大企業のつくったタネを購入しているのが現状だけれど、今でも、自分でタネを採って、それを撒いている農家は探せばちゃんといます。そんな人達を応援したいものです。
映画は6/29からイメージフォーラムなどで公開。
詳細→映画「SEED~生命の糧~」公式サイト
「大企業の利益を守るために自家採種禁止の法律を制定している国もあります(フランスなど)。日本でもその動きが出始めています。在来のタネと、タネを採る権利を守りましょう」
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