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問題だらけの糖質制限ダイエット-6.脂質の摂り過ぎは肝臓や胆嚢の負担

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問題だらけの糖質制限ダイエット

第6回ー脂質の摂り過ぎは肝臓や胆嚢の負担

糖質制限ダイエットでは、通常たんぱく質を大量摂取することになりますが、脂質を多く摂取する人たちもいます。特に、やせることを目的とせず、糖尿病の予防・改善を目的とする人には、このパターンが多く見受けられるようです。たんぱく質の過剰摂取の害が多少知られるようになったせいもあるでしょう。
脂質も炭素、水素、酸素でできていますので、アンモニアや尿素が体内で発生することはなく、その点ではたんぱく質よりも負担が少ないといえます(記事 第2回参照)。

しかし、日本人は伝統的に穀物主体の食生活をしてきているので、体内の酵素もでんぷん分解酵素がもっとも多く分泌されるようになっているといわれます。大量の脂質を消化してきた民族ではないので、それに適した体になっていないのです。

脂質の代表である中性脂肪を分解するためには、まず肝臓で胆汁がつくられます。それが胆嚢に貯められ、十二指腸に分泌されることで中性脂肪を乳化します。さらに、膵臓からリパーゼが分泌され、乳化した中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解します。

油の代謝に関わる内臓(名称入り)
この一連の過程のために、一番負担を被るのは肝臓と胆嚢です。つまり脂質を大量に摂取すると、肝臓や胆嚢が疲れてきます。「肝腎要」の言葉のとおり、肝臓は腎臓と並んで、健康の基本となる臓器ですので、肝臓が弱れば、やはり体全体が疲れてきてしまいます。元気溌溂でいるためには、脂質もほどほどに抑えることが望まれます。

また、脂質分解酵素を出すのは膵臓の役割であり、膵臓に過度な負担をかけることにもつながります。糖尿病は膵臓が疲れてインシュリン分泌に問題が生じる(またはインシュリンの効き目が落ちる)病気ですから、糖尿病患者やその予備軍にとって、さらなる問題を招かないのか、というのも大いに疑問です。

また、脂質、特に不飽和脂肪酸(植物油や魚の油に豊富な成分)は酸化しやすいことが特徴です。酸化した油は人間の体を老化させたり、ガン化させたりするという点にも留意しなければなりません。揚げ物などは特に高温で酸化が進むため、頻繁に食べるのはアンチエイジングの観点からおすすめできません。

さらに、油の過剰摂取は肺を弱らせる、と食養関係者の間ではいわれています。油が酸化しやすいことと、肺が酸素交換を行う器官であることに関係しているのかもしれません。肺が弱れば風邪を引きやすくなり、免疫力全体が低下するともいえます。

また、脂質の種類を問わず、脂質を多く摂るほど、それが動脈硬化を引き起こす原因になる、という説を提唱する医師もいます。肉の脂であろうが、魚の油であろうが、オリーブ油であろうが、亜麻仁油であろうが、油が酸化していようがいまいが、油の微微粒子が血管壁に潜り込むことが原因で動脈硬化(血管壁に堆積物が沈着し、血管が狭くなってしまうこと)が引き起こされ、そのために血圧が上がり、脳梗塞や心筋梗塞など、命にかかわる病気を引き起こす、というものです。(あまり一般的な説ではありませんが、動脈の状態を詳細に検査し、かつ食事指導もしている医師で、それなりに説得力があります。出典はこちら

糖質を減らして、その分のエネルギーを揚げ物やバター、マヨネーズなど、こってりしたもので補おうとして大量に摂取すれば、疲労の蓄積、老化の促進、風邪、免疫力の低下、生活習慣病などのリスクが上がることを知っておきましょう。

「わたしは、油を毎食大さじ1杯、1日で3杯くらい摂取する実験をしてみたことがあります。
半月ほどするうちにだんだん体が疲れてきて、そのうち1日9時間も10時間も眠ってしまうようになりました。
1月ほどでこんな食生活は無理だと悟ってあきらめ、油の量を減らしたところ元気を回復することができました。
今は1日大さじ1杯以内を目安にしています」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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