問題だらけの糖質制限ダイエット
第5回-動物たんぱく過剰は特に危険
高たんぱくの食事がガンにつながることについて前回書きましたが、たんぱく質の中でも特に気を付けたいのが動物性食品です。
同じたんぱく質とはいっても、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質とでは、ガンに与える影響は実は大きく違っています。
ねずみを使った実験をご紹介しましょう。
たんぱく質由来のカロリーが総カロリーの20%となる餌を与える場合、そのたんぱく質がグルテン(小麦たんぱく)ならば、ガンはさほど成長しないのに対し、そのたんぱく質がカゼイン(牛乳のたんぱく)の場合には、著しくガンの成長が促進されることが下のグラフからご覧いただけるでしょう。小麦たんぱくを大豆たんぱくに替えても、同様の結果となるそうです。
(グラフと注の出典:『葬られた「第二のマクガバン報告」』図13)
動物性たんぱく質、すなわち、肉、魚、卵、乳製品などの摂り過ぎが、ガンを発症する危険性を高めるのです。
また、動物性たんぱく質を多く摂る人ほど、心臓病で死亡する率が高くなることを示すデータもあります。
(グラフと注の出典:『葬られた「第二のマクガバン報告」』図24)
このように、たんぱく質、特に動物性たんぱく質の過剰摂取はガンだけでなく心臓病などの生活習慣病にかかる危険性をも高めることになります。
たんぱく質がカロリー比10%程度の食事にすれば、妊婦でも成長期の子どもでも、体の成長に必要なたんぱく質を十分に摂取できる、と『葬られた「第二のマクガバン報告」』(T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル著)の中では述べられています。
しかし、糖質制限ダイエットで、糖質の代わりにたんぱく質からカロリーを得ようとすると、カロリー比10%で済むことは決してありません。
では、糖質制限ダイエットを提唱する人たちは、どの程度のたんぱく質摂取を呼び掛けているのか、ある本に載っている糖質オフメニューの中からいくつかを例として選んで検証してみましょう。(本は『糖質オフハンドブック』大柳珠美著)
◆朝:ピザ風目玉焼き(チーズ40g、ツナ缶40g、野菜をトッピングして卵2個でつくった目玉焼き) カロリー381kcal
→わたしがざっと計算したところでは、たんぱく質29g=カロリー比30%となります。
◆昼:まぐろアボカド丼(ご飯の代わりに絹ごし豆腐150gを使い、上にまぐろ80gとアボガド1/2コを載せたもの)
カロリー388kca
→こちらはわたしの計算では、たんぱく質29g=カロリー比30%(うち動物性たんぱく質は20g=カロリー比20%)です。
◆夜:豚ひき肉と高菜漬けのそぼろ(豚ひき肉赤身200gと高菜漬け60gを炒め合わせ、ゆでたキャベツに包んだもの)カロリー635kcal
→これはわたしの計算では、たんぱく質45g=カロリー比28%となります。
このように、一般的な糖質制限ダイエットでは、動物性たんぱく質由来のカロリーが全体の20%以上となるケースが多く見られます。これでは、ガンや心臓病など生活習慣病へまっしぐら、ではないでしょうか。ガンは何年もかかって徐々に成長していきますし、心臓病も少しずつ血管が狭くなっていくことで心臓に過剰な負担がかかって引き起こされます。気付いたときには手遅れ、ということにならないよう、予防を心掛けることが大切。そのためにはたんぱく質、特に動物性たんぱく質を摂りすぎないことが重要で、糖質制限ダイエットはその観点から大変に危険なのです。
たんぱく質カロリー比10%の食事とは?
1日に1500kcal摂取すると仮定すると、たんぱく質から150kcal≒たんぱく質37gを摂ることになります。「問題だらけの糖質制限ダイエット第2回」の記事で述べた食事バランスガイドでは、1日に3~5単位の主菜を摂ることを推奨していますが、1単位=たんぱく質6gですから、5単位摂るとすると、たんぱく質30gとなります。これに主食のご飯由来のたんぱく質を5~6g加えると、35~36g程度となり、ほぼ同じになります。成人女性の摂取量としては、この程度までを筆者はおすすめします。(成長期でも妊婦でもない人は、10%より少なくても大丈夫ですから、主菜は3単位でも大丈夫。ちなみに日本人女性の平均摂取カロリーは1700kcal程度ですが、健康の秘訣は少食ですので、腹八分目で1500kcal程度がおすすめなのです)。
「腎臓が弱いわたしは肉や魚は1週間で200g程度に抑えるようにしています。体質には個人差があるけれど、丈夫な人でも、1日合計100g以内にとどめるのが無難。それを超えるといろいろな病気のリスクが増えます」
※肉や魚の量とたんぱく質の量を混同しないよう気を付けてください。肉100gにはたんぱく質20g程度が含まれています。動物性たんぱく質を1日100g以下に抑えるのでなく、肉や魚や乳製品をあわせて1日100g以下に抑えることをおすすめします。
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