わたしが自然栽培野菜をすすめる理由
今健康上の問題を抱えていてそれを解決したいと考えている方、ぜひ自然栽培のお米や野菜を利用してみてください。
「自然栽培」という言葉の定義は法律で定められているわけではなく、人によって使い方が違うのですが、一般的には化学合成農薬を使わないのはもちろん、化学肥料も有機肥料もやらずに、無肥料で栽培する農法を呼びます。
今現在健康な人ならば、必ずしも自然栽培でなくてもいいでしょうが、病気を治したい人はやはり自然栽培でなければいけないのではないか。真に自然の摂理にかなっている自然栽培の農産物こそが人間の病を癒し、健康にしてくれるのではないか……わたしがそう思うに至った自身の経験をここでお伝えしましょう。
わたしはマクロビオティックの食事を始めて最初の7~8年は、以前と比べて格段に健康になり、風邪もほとんどひかなくなったのですが、2011年の3.11以降、また年に何回も風邪を引くようになりました。最初は放射能のせいだと考えていましたし、実際にその影響が大きかったと思います。また、一時期は放射能が恐ろしくて、それまでの日課だったウォーキングをやめてしまい、運動不足になったことも影響していたでしょう。しかし、その後何年経っても、年に最低3回程度風邪をひき、寝込んだり、一度風邪をひくとなかなか治らず完治するまで2か月くらい長引くこともよくありました。健康のための食事を教えているのに、自分がこんな状態では……と悩み、食事や運動、生活習慣などを見直しても、なかなか答えは見つかりませんでした。
そのうちふと、3.11以降、野菜の入手先を変えたことが影響しているのでは、と思い当たりました。3.11の前は主に千葉県のくりもと地球村という農場から取り寄せた野菜ボックスを利用していました。そこは「循環農法」と称していますが、畑に生えた野草を刈ってその場で朽ちるのにまかせ、それだけを肥料にして栽培しています。つまり、いわゆる「自然栽培」の部類です。震災前のわたしの野菜の入手先は、このくりもと地球村の野菜が6~7割程度。2割程度はMOA自然農法の野菜(畜糞堆肥も多少は使うが、遺伝子組み換えの餌を食べていない家畜のもので、自家製のものに限る)。1割はスーパーで売っている有機JAS野菜。農薬や化学肥料を使った一般の野菜はたまにしか利用していませんでした。
しかし、くりもと地球村のある香取市は千葉県北部にあり、2011年の3月には放射能がずいぶん降って、ほうれん草が出荷停止になったりしたため、体が弱いわたしには無理なのでは、と思い、野菜ボックスを取り寄せるのをやめてしまったのです。MOA自然農法の野菜も、近くのスーパーの有機JAS野菜も、主に関東が産地であるため、買うのをやめました。
その後4-5年は、西日本から野菜を取り寄せるようにしていました。産地が西日本であることが自分にとって最重要となり、自然栽培であるかどうかまで気にしなくなりました。また、わたしは東都生協にも加入しているのですが、近年では次第にカタログに有機野菜のバリエーションが増えてきたため、関東の野菜からほとんど放射能が検出されなくなると、東都生協の有機JASマーク付きの野菜を中心に利用するようになりました。
しかし、東都生協の有機JASにんじんは、冷蔵庫に入れておかないと、腐るのです。にんじんは本来、常温で保存しても腐らないものです。それがドロドロに溶けることに最初は驚きましたが、しかたなく冷蔵庫に保存することを習慣にしてしまいました。肥料をやり過ぎると、野菜は腐りやすくなるのです(そして虫に食われやすくなり、農薬を使わざるを得なくなるという悪循環に陥ります)。肥料に含まれる硝酸隊窒素という成分は健康に悪影響を及ぼすといわれています。すべての有機JAS野菜がそうとは言い切れませんが、なぜか有機JAS野菜には腐りやすいものが多く、多くが肥料過多であることが推察されます。
自然栽培の野菜はほとんど腐ることはなく、時間が経っても、しなびて、枯れていくだけです。くりもと地球村の野菜はそうでしたし、他の農場でも、自然栽培のものはほとんど腐ることはないといいます。ドロドロに腐る野菜と、腐らない野菜と、どちらが健康によいか……腐らないほうがいいに決まっている、それに牛糞、鶏糞などの畜糞堆肥には、遺伝子組み換えの餌の成分も混じっていて危険だ、などと主張する人たちがいることはずいぶん前から知ってはいたのですが、それでもなかなか野菜を全面的に切り替えるには至りませんでした。
土の力、微生物の力は偉大である、と感じており、肥料に多少変なものが含まれていても、それらは微生物によって分解されてしまうのではないか、と考えていたためです。
生ごみを土に還すという経験をしたことがある人ならおわかりかと思いますが、微生物の力は本当にスゴイのです。生ごみを細かくし、EMボカシ(米ぬかに土壌の有用微生物を混ぜて発酵させたもの)をまぶして土に還すと、ものの3日ほどでほとんど跡形もなく消えてしまいます。その見事さはほとんど魔法のようです。
『ニンジンから宇宙へ』などの著作で知られる大分の赤嶺勝人さんの影響もありました。上述のくりもと地球村を開いた佐藤さんは赤嶺勝人さんを師と仰いでおり、わたしも赤嶺さん講師の「百姓塾」なる合宿に参加したことがあります。赤嶺さんの農園では、多少の鶏糞などを使っており、「遺伝子組み換えの餌を食べた家畜の糞などをたい肥に使うのはどうなんでしょうか?」と質問すると「微生物の力で分解されるから大丈夫」という答えが返ってきました。微生物の分解力のすごさを感じていたわたしは、その言葉に共感を覚えたのでした。
そんなこともありグズグズしていたわたしが、再び自然栽培の米や野菜中心の食生活に切り替えたのは2019年の初頭からでした。これで健康状態が変化するかどうか、実験して確かめたいという気持ちもあり、スーパーや東都生協の有機JAS野菜は1割以下に抑えました。自然栽培野菜を中心にしたいと思いながらも、実際には平均して5~6割だったでしょうか。MOA自然農法の野菜を2~3割。農薬や化学肥料を使わずに栽培している千葉のおかげさま農場などの野菜も2割程度は利用しました(以前利用していた自然派スーパーでは、残留する肥料分“硝酸隊窒素”が多すぎない野菜を選んで販売しており、実測した数値も表示してました。そのスーパーでよく販売されていた「おかげさま農場」の野菜は肥料過多ではないという点で信頼できると考えたためです)。お米は完全に自然農法のものだけにしました。
果せるかな、それ以来、風邪をひくことはほとんどなくなり、あれ、ちょっと風邪っぽいかな?と思っても、2-3日で正常に戻るようになったのです。わたしにとって一番風邪を引きやすい季節は秋の初め頃なのですが、それも事無く乗り切り、これはやはり食材を変えた効果に違いない、と確信を得るに至った次第です。
体調が最悪だった2011年~2013年頃は、風邪の熱が下がってからもなかなか体調が元に戻らず、駅から15分の道のりを歩くのに1時間近くかかったり(体調が悪いためゆっくりしか歩けない)、途中で疲労のあまり泣きたくなったり、どうしても歩けなくなって、途中からタクシーを拾って帰ることもありました。まあ、それは放射能の影響が一番大きかったとは思うのですが。2017年の夏も3週間ほど熱が下がらずに寝込み続け、開催するはずだったタイ料理教室を延期したあげくキャンセルせざるを得なかったという情けなく苦い思い出もあります。
そんな長かったトンネルを抜けて、やっと一時期と同じ健康状態に戻れたことを本当にうれしく思っています。
わたしの場合は風邪の引きやすさ、治りやすさ、というのが最大の変化でしたが、要は免疫力が高まったということなので、どんな病気・不調であっても、きっとよい方向へ作用すると考えられます。ガンをはじめとしたさまざまな難病やアレルギーなど……なんらかの健康上の問題を抱えている人は、ぜひ自然栽培の野菜やお米に切り替えてみていただきたいと思います。
念のため申し添えると、わたしは決して有機JASの野菜を全否定するわけではありません。有機JASは自然栽培と比べて収量がしっかり確保できるため、農家にとっては経済的に有利ですし、昆虫の激減につながるネオニコチノイド系農薬は使っておらず、一般的な農法に比べれば、ずっと環境にやさしいといえます。化学肥料を使って劣化してしまった土壌でいきなり自然栽培をやるのは無理がある、というような事情もあります。また、自然栽培野菜には法的な基準もなければ第三者による認証もないため、品質が保証されないという見方もあります。さまざまな農法にそれぞれの役割があることを踏まえたうえで、健康上の問題を解決するためには、自然栽培を試してみることをおすすめする次第です。
「健康食を教えている手前、風邪をひいてもそれを人に知られないようにしなければ!と思っていました(笑)。やっとそんな悩みから解放されて喜んでいます」
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