茨城アイガモ水田トラストの田んぼイベントに、教室の生徒さんも連れて行ってきました。
霞ヶ浦の近く、行方市のこの田んぼで田植えが行われたのは約1か月前。ヒナの状態で田んぼに放たれたアイガモちゃんたちは、結構あっという間に成長して、もはや「ヒナ」という感じではなくなっていました。
アイガモは雑草の芽を食べたり、虫を食べたりしてくれるので、殺虫剤や除草剤をまく必要がなく、人間による草取りの手間も省けます。また、アイガモの糞は肥料の代わりになるので、一石何鳥もの効果を得られます。
この日の人間の作業は、まず田んぼの稲の列を乱している株を抜き取ること。一番左下の株の脇にちょこんと生えてしまっている小さな株がありますが、こういう不要な株を抜いていきます。
通常田んぼでは苗を3~4本まとめて植えるのですが、上の田んぼは、1本植えになっています。それは種を採ることを目的にしているため。疎らに植えたほうがお米の1粒1粒は大きくなりやすいため、そうしているのです。
このアイガモのいる田んぼの方は食べるために植えたものなので、苗をまとめて植えています。比べて見ると、違いがわかりますね。
なお、写真では見えませんが、この田んぼにはところどころに人間の顔か胸くらいの高さに黒いテグスが張ってあり、それはカラス除けなのだそうです。透明なテグスだとキラキラ光って見えるため、最初は警戒するカラスもそのうち慣れてしまって効果がなくなるらしいのですが、黒いと角度によって見えたり見えなかったりするため(実際ほとんど見えない感じでした)、見えないものに侵入を阻まれるという体験をすることで恐怖が生じ、田んぼに近づかなくなるとのことです。カラスは何しに来るかというと、アイガモのひなを襲いに来るのだそうですよ。もう少し成長すると襲われなくなるそうですが、このくらいの大きさだと、カラスはさらっていくのだそうです。カラス、おそるべし。
2歳半のすずちゃんも果敢に作業に挑戦します。すずちゃんはTシャツの柄も鴨という、気合いの入れよう。
途中で尻餅をついておむつも服もどろどろになってしまったすずちゃんですが、なにものも恐れる様子もなく、いたって楽しそうでした。
生産者の小長谷(こながや)さんが、稲の分げつについて説明してくれました。
1本に見える苗もよく注意してみると、2本であることもあり、それぞれが3本とか5本とかに分げつしている様子を見せてくれました。今左手に持って広げて見せてくれている稲は3本に分けつしています。5本に見えるかもしれませんが、左端と右端のものは「葉」であり、中央の1本が「主茎」その脇の2本が「分けつ茎?」なのだそうです。
分げつは多ければ多いほどよいというものではなく、極端に多くなりすぎれば養分は茎をつくることばかりに費やされて実りが悪くなってしまいます。20本くらいに分げつするのがちょうどよく、そうなったら水の供給を一時的に止めます。これを中干しといい、分げつを止めると同時に、稲の根が水を求めて地中深くに潜っていくため、根を深く張らせる効果もあるといいます。
少しでも収量を多くするために、農家は稲の状態を細かく観察して、いろいろな調整を施しているんですね。
小長谷さんの田んぼから帰る途中、同じく生産者の田宮さんが、ご自身の田んぼについて説明をしてくれました。この背後にある3枚の田んぼでお米を4種類、ミルキークイーン、さわのはな、こしひかり、いのちの壱(いち)を栽培していらっしゃるそうです。ここだけでアイガモが300羽。アイガモは1反歩あたり20羽程度が適正値だとのこと。ということは、この田んぼ3枚でだいたい1町歩半(≒1.5ha)くらい、ということでしょうか。
これは小長谷家にあったソーラークッカー。晴れていたので、真ん中に置いたやかんでは、お湯が沸騰していました。やかんの色は黒、というところがポイントです。熱を集める色なので。
昼食はみんなで協力してつくったアイガモ肉入りのタイ式カレーと、わたしのレシピによるベジタリアン仕様の大豆カレー、サラダでした。大豆カレーはわたしが田んぼから帰ってきてから作りはじめたため、食事を開始してもまだ煮込み中で、写真を取り損ねてしまいました。
アイガモ肉は、結構硬いのですが、味は濃厚。タイカレーは、タイ在住経験者としては懐かしくてたまらない味でした♪
昼食の後は安田のミニ講演。「食べることで世界を変える方法」です。お昼をお腹いっぱい食べた直後で眠かった人もいた模様ですが(笑)、遺伝子組み換えに関して熱心な質問が出たり、日本の農政に関する意見(自給率を上げるためには政府が直接農産物を買い入れるのがいいのでは、等)、マスコミの「肉は健康にいい!」攻勢にどう対処していけばいいのか(肉はそんなに必要ないという情報をもっと広めないといけない)、などの意見が交わされました。
その後は田んぼの周りの草刈りです。アイガモが野犬などに襲われないよう、田んぼの周囲には電気柵が張り巡らしてあります(緑の網の中に横にとおっている白い線が電線)。草が伸びてこの線に触ってしまうと、電気柵の効果が得られないとのこと。アイガモ田んぼは楽なように思えますが、アイガモの管理には意外に手間がかかるのですね。
わたしは夜に東京で外せない用事があったため、草刈りはせずに先に帰らせてもらいました。
東京から一緒に行った長野さんは、しょっちゅう車で霞ヶ浦に釣りに来るそうで、帰りに眺めのよいところに案内してもらいました。写真だとよくわかりませんが、広くひらけた湖面は人をすがすがしい気持ちにしてくれます。琵琶湖についで日本に2番目に大きい湖なんだそうですよ。
残して来てしまった生徒さんのみつえちゃんは、その後ガッツリ草刈りをして、翌日は筋肉痛だったそうです(><)。先に帰ってしまってごめんなさい! みなさん、おつかれさまでした!!
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