脂質に関する講演会で興味深い話を聞いたので、みなさんにお伝えしたいと思います。
わたしが一番興味を持ったポイントは、脂質の摂り方が、アレルギー改善の鍵になるという点でした。
人間の体内で合成できない「必須脂肪酸」には、「オメガ3系」の脂肪酸と、「オメガ6系」の脂肪酸がありますが、現代人の多くがこのバランスを崩しているといわれています。
オメガ3系の脂肪酸には、αーリノレン酸や、EPA、DHAなどがあります。
αーリノレン酸は、えごま油、グリーンナッツオイル、亜麻仁油などに多く含まれる油。
EPAやDHAは聞いたことのある方も多いと思いますが、背の青い魚(いわし、まぐろなど)に多く含まれる油です。
一方、オメガ6系の脂肪酸にはリノール酸やアラキドン酸があります。
リノール酸は多くの植物油ー大豆油やコーン油、綿実油などーに多く含まれる脂肪酸。
アラキドン酸は肉や乳脂肪に多く含まれる脂肪酸です。
このオメガ3系の油と、オメガ6系の油の割合は、1:1~1:4程度がよい、と言われています。
しかし、日本では現代人の多くが1:10程度の割合になってしまっているとのこと。
肉や乳製品、そして揚げ物やマヨネーズなどを大量に摂取する現代的な食生活が原因です。
このバランスが崩れることで、心臓病やがんになる確率が高まる、また脳の働きが妨げられる、という話は、わたしも以前から知ってはいました。
初耳だったのは「アラキドン酸カスケード」という理論です。
人間の細胞膜にはアラキドン酸がくっついているが、それは細胞が障害を受けることによって遊離し、体内の酵素の働きで、さまざまなアレルギーの原因物質に変化する、というのです。
たとえば、アラキドン酸が、「プロスタグランディン」という物質に変化すると、体に痛みや炎症を引き起こす、
また、アラキドン酸が、「ロイコトリエン」という物質に変化すると、気管支を収縮させて喘息の発作を引き起こしたり、鼻を刺激して鼻炎を起こす、
のだそうです。
このアラキドン酸が、どんな物質に変化するのかは、その人の体質や時と場合によって変わるようですが、必ず何らかの物質には変化することになるらしく、たとえば薬によって痛みに変化する経路を化学的に止めてしまうと、そのかわりに体にかゆみが現れる、というようなことが起こるそうです。
「カスケード」というのは滝のことで、滝が下に流れ落ちるように、アラキドン酸は体内を流れて、なんらかの症状を引き起こすのです。
この話は、わたしにとっては、非常によく納得のいくものでした。
というのは、子どもの頃、アトピー性皮膚炎がひどかったのですが、たまに自家中毒になって入院したりすると、アトピーがきれいに治るのです。
自家中毒で入院すると、食事を厳しく制限されるので、そのせいで、アレルギーの原因物質が口から入って来なくなるのかな、とも思いましたが、
喘息の発作を起こしたときにも、やはりアトピーは必ずよくなるのです(食事を特に変えなくても)。
こうした現象はアラキドン酸カスケードの理論で説明がつきます。
また、自家中毒は子どもの頃、何度か罹りましたが、一度は天ぷらを大量に食べた直後だったことを記憶しています。てんぷら油でリノール酸の摂り過ぎたことが原因だったのでしょう(リノール酸は人間の体内でアラキドン酸に変化します)。
このようにオメガ6系の油がアレルギー性疾患を誘発するのに対し、オメガ3系の脂肪酸は、アレルギーを抑制する方向に働く、とのこと。
そうか!
今年の夏、化学物質過敏症による皮膚炎にわたしが悩まされていたのは、オメガ3系の油が足りなかったのかも!
とわたしは思い至ったのでした。
化学物質過敏症も一種のアレルギーですから。
去年羽目をはずしていろいろと食べ過ぎてしまったせいで、今年初めごろから右側の腎臓が不調に陥り、腎臓を休ませようと、魚をほとんど食べていなかったので、オメガ3不足に陥っていたのかも。
そう気づいたわたしは、次の日から、えごま油を毎日大さじ1杯摂る、というのを試してみることにしました。
オメガ3は加熱に弱いとされているので、夏はサラダドレッシングに、冬は蒸し野菜にかけるなどして食べるようにしていますが、そういえば、この夏はあまり摂っていませんでした。
しばらく続けたところ、10日間ほどしてはっきりと、改善の効果が現れました。
この夏は顔以外のほぼ全身にブツブツが出て、暑くなっても手足を出すのがためらわれるほどだったのが、10日でほぼきれいに消えたのです。
それからさらに2週間ほど、ほぼ毎日大さじ1杯くらいのえごま油、またはグリーンナッツオイルを摂り、その後は、1日に小さじ1杯くらい摂ったり、採らなかったりですが、おかげ様で再発していません。
一時期ごま豆腐を毎日のように食べていたのも、オメガ3と6のバランスを崩した原因だったかもしれない、
(ごまはオメガ3がほとんどなく、オメガ6が多い。比率は1:148)
と気づいて、最近はごまを食べたら、次の日には、えごま油(ダントツにオメガ3が多い。オメガ3:オメガ6=4:1)などを摂り、バランスに気を付けるようにしています。
ふだん使いの油(炒めものその他、加熱する油)には、なたね油がおすすめです。
なたね油のオメガ3:オメガ6の割合は、1:2程度ですので、脂肪酸の割合の観点からは、とても優秀な油といえるのです。
(ちなみにオリーブ油はオメガ3:オメガ6=1:10と、この点ではあまりよくありません)
アレルギー改善には
○化学物質をこれ以上蓄積しないようにする。なるべくデトックスする
○リーキーガット症候群の改善のため、腸内環境の改善を図る。特に砂糖を採らないようにすることは大事
ということをこれまでは強調してきましたが、今後は三本目の柱として
○オメガ3:オメガ6の比率を整える
ということを強調したいと思います。
アレルギー症状に悩んでいる方、ぜひ試してみてくださいね。
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