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問題だらけの糖質制限ダイエット-3.疲労、腎臓病、糖尿病、腰痛、ヘルニア……無限に広がる将来のリスク

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問題だらけの糖質制限ダイエット

第3回-疲労、腎臓病、糖尿病、腰痛、ヘルニア……無限に広がる将来のリスク

糖質制限ダイエットによってたんぱく質を過剰摂取すると、それは腎臓の負担となり、体力気力を衰えさせる、という話を前回にしました。明治時代に日本の人力車夫の食事を観察したドイツ人医師ベルツによる実験も、このことを裏付けるものです。
ある時ベルツが、東京から日光へと旅行したときには、馬を6回も乗り継いで行ったのに、別の機会に人力車で行ったところ、車夫は上野から日光からまで14時間半で行ってしまったといいます。「馬よりもすごいこの日本人の体力は一体どこから来るのか!?」その驚異的な体力に感心したベルツは、22歳と25歳の車夫を雇って実験を行うことにしました。

人力車

まず彼らの普段の食事を調べたところ、玄米おにぎりと梅干し、味噌大根の千切り、たくあん、その他、大麦、イモ類、栗、百合根など、植物性の食事が中心であることがわかりました。ベルツは、肉などを中心としたドイツで理想とされる高たんぱく・高脂質な食事を摂ってもらえば、彼らがさらにパワーアップするのではと考えました。そこで、彼らにそうした食事をしてもらい、80kgの人間を載せて、1日40kmを走ってもらったところ、3日目で車夫は激しい疲労を訴えたといいます。元の食事に戻してほしい、という要望を受けて、今までどおりの高糖質・低たんぱく・低脂質の食事に戻したところ、徐々に持久力を取り戻し、しばらくしてまた元通り元気に走れるようになったといいます(出典:『服部幸應の日本人のための最善の食事』)。たんぱく質の大量摂取はこのように体力を衰えさせるのです。
ベルツはドイツ人と日本人とでは体質が違うため、日本人には低たんぱくの食事があっている、と解釈したようですが、ドイツ人を使って同じ実験をしたわけではないので、ドイツ人に本当に高たんぱくの食事があっているのかどうかは大いに疑問の残るところです。

車輪を回すねずみiStock-177262522

ねずみを使った実験でも、低たんぱく食のねずみの方が高たんぱく食のねずみよりも、活発に運動することが確認されています。檻の中に車輪を置き、ねずみがそれをどのくらい回転させるかを2週間に渡って観察した実験では、低たんぱく食のねずみのほうが2倍の運動量をこなしました(出典;『葬られた「第二のマクガバン報告」』上P184)。これも、過剰なたんぱく質が体を疲れさせて活力を奪ってしまうことを意味しています。

糖質を極端に減らし、その分たんぱく質を増やしても、車夫のように激しい運動をしない人は、3日くらいでは不調を感じることはないかもしれません。しかし、腎臓の疲労は徐々に蓄積していきますから、長期的には体力気力が衰えたり、さらに将来的には腎臓病になる可能性が高まることが考えられます。

腰痛iStock-693675334

腎臓はウエストの後ろ辺り、腰の部分に位置しています。腎臓が長期間負担を強いられると腎臓の血行も悪くなり、それは腰にも悪影響を及ぼして、腰痛やぎっくり腰、椎間板ヘルニアなども引き起こしやすくなります。わたしの知り合いの糖尿病の人は、医師に糖質制限ダイエットを指導され、数年後に椎間板ヘルニアを発症しています。医師は因果関係を認めないかもしれませんが、わたしの目からは当然の帰結のようにも見えます。その逆の例もあります。現代的な食生活を見直し、肉や魚をほとんど食べないようにしたら、椎間板ヘルニアが治った、という人も中にはいるのです。

また、東洋医学関係者の間では、腎臓が弱ると糖尿病にかかりやすくなるといわれています。理由は明確ではありませんが、わたしは単純に、腎臓と膵臓はすぐ近くにあるからではないかと考えています。殊に左の腎臓は膵臓とぴったり接しています。

腎臓と膵臓は接している

腰痛を例にとって考えれば、腎臓がその周囲の筋肉や骨にまで影響を与えることは明らかで、腎臓と隣り合った膵臓も悪影響を被ることは何ら不思議ではありません。それを考えると、糖尿病の治療のために糖質制限ダイエットをすることで、余計に腎臓が負担を強いられ、それがさらに膵臓を弱らせる、というふうにして根本原因を悪化させているのでは、という矛盾すら感じます。

また、東洋医学では、腎臓が弱ることで、耳に問題が生じるとされています。聴力が衰える場合もあれば、耳の奥の三半規管に問題が生じて、めまいが起きたり、メニエル氏病になる場合もあります。中耳炎も多くの場合腎臓の不調を背景にあります。歳を取ると耳が遠くなるのは、歳とともに腎臓に疲労がたまってゆくからです。

耳iStock-881828886
さらにいえば、髪の毛も腎臓と関係しています。年齢を重ねるとともに、直毛だった髪の毛がうねるようになる人がいますが、これも腎臓の不調と連動しているのです。どれも、腎臓の負担を減らすことで、改善することができます。

このように、たんぱく質に偏った食事は、将来的にさまざまな病気や不調をもたらす可能性があります。たんぱく質を多く含む食品は食事バランスガイドが推奨する程度の量(前回記事参照)に抑えることをわたしはおすすめします。

「腎臓が弱いわたしは
普通の現代人並みに肉や魚を食べたら
3日もしないでグッタリ疲れてしまいます。
体質には個人差があるけれど、
体の弱い人ほど、たんぱく質の量は抑えたほうが無難。
そのほうが体が軽くなりますよ」

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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