映画『バナナの逆襲』~大企業に負けない市民のパワーに拍手!

2部作映画『バナナの逆襲』の1話目「ゲルテン監督訴えられる」を見た。

スウェーデン人の映画監督、ゲルテン氏は、南米ニカラグアでドキュメンタリー映画をつくる。バナナ農園で働く労働者たちの農薬被害訴訟を取材したものだった。その映画「Bananas!*」はロサンジェルス映画祭のコンペ部門に出品される予定だったのだが、それを知ったドール社から横やりが入った。映画の上映を中止しなければ、監督や映画祭主催者を告訴するというのだ。

ドール社の代理人は、「映画の内容はデタラメだ」と主張するも、「何がどう、デタラメなんです? そもそも、あなたは映画を見たんですか」と聞かれると「だから、見ていないって言ってるだろう!」と言ってのける強引さだ。

映画祭の主催者はドール社からの圧力に次第に怖気づいていき、最後は映画の上映前にわざわざ「この映画の中で労働者たちが話している内容は信ぴょう性に疑問があり……」等々ドール社を擁護し、監督を批判するかのような声明を読み上げる始末。そこまでドール社に遠慮したにも関わらず、結局ドール社は監督と映画祭を名誉棄損で?告訴してきた。

失意のまま帰国した監督は、映画の上映もできず、悶々としていたが、遂に反撃に出た。言論の自由の弾圧という名目でドール社を逆に訴えたのだ。

監督が苦しい闘いを続けていたある日、思わぬところから擁護者が現れた。スウェーデンのブロガーがたまたまハンバーガーショップでフルーツサラダを頼んだところ、そのカップにはドール社のシールが貼ってあった。ドール社の問題を知っていた彼は、そのハンバーガーショップに対し、「エコロジカルな企業だと思っていたのに、ドール社の製品を扱うなんて!」と文句を言ったのだ。ハンバーガーショップの経営者は良心的な人で、すぐさまドール社に問い合わせの電話を入れた。ところが何も納得のいく返事がなかったため、ドール社製品の取り扱いを即刻中止することに決めたのだ。ブロガーの記事がインターネット上で拡散されるとともに、ハンバーガーショップの対応への注目も集まり、新聞記者が取材に殺到。「ドール社製品不買」の話題はスウェーデン中の新聞紙面を大きく飾り、人々の耳目を集めるところとなった。

また、国会議員の中にも監督に味方をしてくれる人が現れ、映画館での上映ができなかった映画「Bananas!*」は、国会の中で上映会が開かれることになった。さらに多数の国会議員がドール社に告訴を取り下げるよう、署名して手紙を送ってくれた。それをきっかけに、スウェーデン各地の映画館で、映画「Bananas!*」は上映されるようになったのだ。

人々はにわかに言論の自由と労働者の権利について関心を持つようになり、大手スーパーはバナナを取り扱うべきかどうか議論を戦わせるようになった。国会では監督や大手スーパーの経営者を呼んで、このバナナの問題について話を聞くことになった。

その国会の始まる2時間前、遂にドール社が「告訴取り下げ」を連絡してきたのだ。ついに正義は勝った。でもそれはまるで奇跡のようだった。

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「上映をやめなければ告訴するぞ」という大企業の脅しに怯えて、監督を悪者扱いするかのような言動をとる映画祭主催者たちの情けないこと。しかし、彼らが保身に汲々としなければならないその背景には、アメリカの歪んだ司法がある。金を持つものがより優秀な弁護士を雇い、有利な判決を勝ち取ることができるというその制度の中では、正義が通ることはほとんど期待できない。司法で正義が通りさえすれば、「訴えるぞ」などと脅されたって、「どうぞご自由に」と言えるものを。だって、監督は何も悪いことはしていないのだから。そんな世の中の歪みを考えさせられる。

そして、そんな情けない、歪んだ世の中の中でも、正義が勝つことがあるんだ! ちっぽけな市民が大企業に勝つこともあるんだ!という希望を抱かせてくれる映画。
自分ひとりがどうあがいたって世の中変わらない、なんて達観したフリをしている暇があったら、とにかくあがいてみるべき! と改めて勇気づけられる。

ドール社のバナナを食べることは、こういう横暴な企業を応援することにつながる、ということをぜひ考えてほしい。また、ドール社のバナナを食べることが、どんなふうに農園労働者を苦しめているかについては、来週「Bananas!*」の上映(2話目「敏腕?ドミンゲス弁護士現る」)を見て、改めて報告したい。
上映会の詳細はこちらを。https://www.facebook.com/events/1718709831784220/