日本経済新聞電子版2018/4/3の記事、「甘い清涼飲料に『砂糖税』 アジアで広がる 」を興味深く読みました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28920420T00C18A4MM0000/?n_cid=NMAIL007

肥満につながる清涼飲料の消費を抑えるのが目的で、タイが2017年秋に導入し、フィリピンも最近課税を始め、インドネシアでも計画中だとか。その背景には、肥満人口の増大による医療費の増加に歯止めをかけなければ、医療財政が立ちゆかなくなるとの危機感があるとのこと。

それも当然でしょう。わたしがタイで暮らしていた1999~2004年、わたしの教え子(大学院生)のお父さん・お母さん世代(50代、60代くらいか)は「あの人もこの人も糖尿病」というくらい、ものすごい勢いで社会に糖尿病が蔓延しているのを感じたものです。

食事制限だけで済んでいればいい方で、足の切断にまで追い込まれた人も知っていますし、人工透析をしている人もいました。タイでは1人30バーツ(当時の120円くらい)で何でも医療が受けられる、という制度をタクシン元首相が導入して大好評を博した頃ですが、人工透析はその範囲外なので、すべて自費診療となります。貧富の差の大きいタイで、裕福な家庭でなければ人工透析などできませんし、その裕福な家でもずーっと人工透析にかかる医療費を払い続けられたのかどうか、その後のことは聞いていないのでわかりません。

そんなにまで糖尿病が蔓延する最大の原因は、甘い飲み物の飲みすぎ、砂糖の摂り過ぎだろう、ということはその当時から思っていました。

暑い国ですから、外を歩けばすぐに汗がダラダラと吹き出し、すぐに喉が渇いてきます。そこで水を飲んでいればいいのですが、ほとんどの人が甘い飲みものを飲んでしまうのです。しかも、その甘さたるや半端ではありません。シロップや砂糖で甘さを調節して売ってくれるようなジュース屋台では、「甘くなくして」と頼んでも、薄甘いものが出されます(まったく甘みゼロにしたければ「砂糖抜きで」と明言しなければなりません)。普通の飲料はほとんど日本の倍近くの甘みだったように思います。

日経新聞の記事で見ると、18歳以上の肥満人口の割合が多いのはマレーシア(43%)、タイ(33%)など。社会の発展度合いの高い国ほど肥満人口が増えるという構図のようです。

グラフ出典:上記日経新聞の記事より

以下、日経新聞の記事を一部引用します。

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フィリピン政府は1月、甘味料を加えた飲料を対象とした「加糖飲料税」を導入した。税額は1リットルあたり6ペソ(12円)。ジュースなどによく使われる異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)を使った飲料は同12ペソ。課税対象前の商品在庫がなくなった1月中旬からスーパーやコンビニエンスストアなどが値上げに踏み切った。

これに先立ち、タイ政府も17年9月、卸売価格の20%だった清涼飲料への物品税を、推奨小売価格の14%に砂糖の含有量に応じた「砂糖税」を上乗せする仕組みに変えた。23年まで段階的に税率を引き上げる。

このほかインドネシア政府やベトナム政府も、糖分を含む飲料への課税を検討している。インドでは17年の物品・サービス税(GST)導入に伴い、4段階ある基本税率で最も高い28%を炭酸飲料に適用した。

東南アジアの国々では伝統的に暑い気候や辛い食事と合う甘い飲料が好まれてきた。近年の経済成長による所得増で清涼飲料の消費量は拡大し続けており、インドネシア、フィリピン、マレーシアではこの10年で市場規模はそれぞれ倍増した。

こうした砂糖摂取の増加により、肥満人口も増え続けている。世界保健機関(WHO)によると、東南アジア主要6カ国では肥満度を示す国際指標「BMI」が10年前に比べて7ポイント上昇。BMIが25以上の「太りすぎ」の人はマレーシアでは18歳以上の人の43%に達する。日本(同約27%)を大幅に上回る水準だ。

肥満増加で社会的な負担も重みを増す。アジア開発銀行(ADB)研究所の推計によると、アジア太平洋地域における医療費や障害による機会損失などの社会コストは1660億ドル(約17兆5千億円)規模に達する。これは地域の医療支出総額の12%に相当する。

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こうした国々では危機感を募らせる政府の意向を受け、飲料メーカーも砂糖を減らす取り組みを始めているとのこと。これは人々の健康のためによいことです。

日本の清涼飲料水は、そうした東南アジアの国々と比べれば、もともと甘みは薄いとは思いますが、しかし1日に缶ジュースや缶コーヒーを何本も飲むような人も中にはいますから、税をかけるかどうかは別として、問題意識を喚起することは必要なのではないでしょうか。

日本でも糖尿病はどんどん増えています。他人事と思わず、注意するようにしたいですね。