わたしたちの食事の基本となる米や野菜などの農作物は、よく「大地と太陽の恵み」などと言われます。光合成によって栄養をつくり出す植物が、太陽が無ければ生きていけないのは事実。それと引き換え、月(ラテン語でルナ)は植物に何の関係もないと思われているかもしれません。太陽に比べて存在感の薄い月ですが、実はその満ち欠けや位置は、地球上の生物や物理現象にさまざまな影響を与えています。
月の満ち欠けが潮の満ち干と関係しているのはみなさんもご存知でしょう。満月と新月の時には、海は大潮となり、潮の満ち干の差が最大になります。また、満月の時に海亀が浜に産卵に来るのもよく知られた現象です。
月の満ち欠けは実は植物にも影響を与えています。日本では古くから、建築用の木材は新月の日に伐りだすのがよいと言い伝えられてきました。それは新月の時には木の中の水分が下降して根の部分に集中するため、地上部の水分が少なくなって乾燥させやすくなり、また組織が緻密になって、丈夫で長持ちする建材となるためです。
農作物も、穀物か、根菜か、など主に利用する部位の違いによって、満月のときに収穫したほうがよいもの、新月のときに収穫したほうがよいものがあります。種まきの時期なども月の満ち欠けの周期を考慮して行うと、作物の成長をうまく促すことができるのです。
このように、自然は、宇宙全体の影響を受けて動いています。地球上の物理現象も、さまざまな生きものも、月の動きをはじめとする、目に見えないものに常に影響されています。潮の満ち干は重力によって説明できるとしても、月がなぜ動物や植物にこのような影響を与えるのか、科学はいまだ明快な答えを出せません。このことは、科学が解き明かしたことは、この宇宙の真理のごく一部に過ぎないことを示しています。それなのに、その一部が全部であるかのように勘違いしてしまうと、大事なことを見落としてしまうことにつながるのです。
ルナ・オーガニック・インスティテュートにとっての月は、現在の科学では完全には解き明かされていない、目に見えない自然の力の象徴です。大いなる自然の力に敬意を払うこと。心と体で自然を感じ、自然と調和した暮らしを心がけること。それこそがわたしたち人間を健康にし、同時に地球環境を健全にしていくための鍵となる、大切な姿勢なのです。
月の影響を受けるのは、人間も例外ではありません。女性の生理も月の満ち欠けと関係していることを知っていますか? 自然な食事、自然のリズムに沿った暮らしをしていると、自然に新月に排卵、満月に生理が来るようになる人が多いのです。そうでない人は、食生活が生物としての自然から離れたものになってしまっている可能性があります。月の満ち欠けの周期を調べ、自分の生理の周期と比べてみましょう。妊娠を望んでいる人、あるいは生理痛をはじめ婦人科系の不調を治したい人などは、まず自分の体のリズムが月のリズムと同期するまで、自然な食事を続けることをおすすめします。月のリズムと自分のリズムが同期したとき、人間も自然の一部であるという当たり前の事実を、深く実感することができるでしょう。もちろん男性の方も、自然な食事によって体のあらゆる不調が次第に改善されていきます。そんな自然な食べ方を、「サステナ・フード教室」を通して、学んでいただければ幸いです。