食と社会

玄米菜食プロレスラー!☆学校給食の今と未来inおおた 2015.9.12のご報告

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9月12日は「学校給食の今と未来inおおた」という大田区のイベントに聴衆として参加。講師は西村修氏(文京区議、右)と関根彩子氏(グリーンピース、中央)。西村氏はプロレスラーでもあり、この筋骨隆々とした肉体を玄米菜食で保っているという。スゴイ!

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西村氏はプロレスラーとしての体格づくりのため、肉を毎日1kg食べ、牛乳を毎日4リットル飲む、というような生活を続けた結果、27歳という若さでガンを発症。手術の後は放射線治療、と主治医に告げられたが、骨髄にも放射線が当たり造血機能が衰えプロレスは続けられない、と聞いて悩む。

その結果、放射線治療を断り、食事療法を模索する旅に出る。台湾で漢方、精進料理、薬膳を学び、イタリアでも地元の食生活を学び、インドでもヒンズー教文化やアーユルヴェーダを学び……たどり着いたのが、「土地のもの」「季節のもの」「伝統的なもの」を食べるということだった。

結局日本の伝統的粗食にたどり着き、玄米菜食をはじめたところ、疲れ知らずになり、筋肉の状態もとてもよくなり、さらに精神状態がよくなったことに驚いたという。怒り、恐れ、不満などマイナスの感情を抱くことがなくなり、常に冷静でいられるようになったそうだ。

プロレス仲間がステーキを食べに行くときも、ご飯と味噌汁と漬物だけ。それでも以前と比べてとんでもなくスタミナがついたという。体重も100kgくらいを維持しているそうだ(常人と違い、脂肪ではなく、大半が筋肉なのだろう)。

講演後に「ご飯はどのくらい召し上がっていらっしゃるんですか?」と尋ねたところ、1食につき(1日ではない)3合~5合は食べるという。米農家さんが泣いて喜びそうだ。

講演をして回ると、みんなその時はうんうん、と聞くが、うちに帰ると元通りの食生活。根本的に変えるには、給食を変えるしかない、と思い、そのために政治家を志したそうだ。参議院選に出て惨敗し、文京区議となって現在に至る。

区議1人ではなかなかすぐには区政は変わらないけれど、区議の仲間にもだんだんに食の重要性を理解する人が増えているという。最初は区議会で質問しても、失笑しか反応がなかったが、今はだいぶ風向きが変わってきたという。継続は力なり。

関根彩子さんは、グリーンピースの「ハッピーランチプロジェクト」についてお話しされた。 http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/53463/ …

「ハッピーランチプロジェクト」は、生態系と調和した農業(生態系農業)を広げるキャンペーンの一環として、全国の幼稚園や保育園の給食で無農薬食材を使うようになり、安全な食と環境をまもっていくことをめざすプロジェクトだという。

新大久保にあるABC保育園では生産者と直接契約を結ぶことによって、オーガニックの給食を昼+夜+おやつでたったの700円で提供できているという。保育園に入って以来、子どもが病気をする頻度が大幅に減った、と話す親が多い。

風邪をひきにくくなった、という声とともに多いのが、味がわかるようになった、というもの。うちで顆粒だしなんか使うとバレちゃうの、というお母さんの声も。

 

主催者の高橋祐子さん(大田区在住3児の母)からは、大田区の学校給食の現状についての解説が。

給食には自分の学校の中でつくる自校方式と、給食センターでまとめて複数校のものをつくる給食センター方式とがあるが、大田区は幸いにも自校式。

各学校から栄養教諭が定期的に集まって献立表を作成し、それを持ち帰って各校が多少のアレンジを加える。

食材の発注は栄養教諭に任されており、栄養教諭のいない学校では一般の教諭が発注業務を行うとのこと。(すごく意外)

無農薬の野菜を選んで使っている学校もないわけではないが、やりたくてもできないというところが多いらしい。

主食は1週間のうちご飯が3回、パンが2回。なるべく手作りすること、行事食を大切にすることなどを心がけているとのこと。

同じく大田区在住向達さんによれば、大田区の給食の材料費は小学校240円、中学校280円。

全国平均は300円だという。給食費未納の生徒がいると、集まった金額を生徒の頭数で割るようなかたちになってしまうため、実際の材料費を削らざるを得ない。区内貧富の格差が大きい大田区では、未納の割合もかなり高いのでは? と推測し、情報公開請求も行っているとのこと。

 

もう1人の主催者加藤さん(おなじく大田区在住3児の母)からは、食を改善したことで、家族が医者にかかる頻度が大幅に減ったという話もあった。これは改善前の医療費通知書。

医療費通知書-1

一番多いのは3.11の年の7月。名古屋在住だったというが、放射能の影響を疑わざるを得ない。主に食品由来だろうか。

 

食の改善後の医療費通知書。

医療費通知書-2

 

医者にかかる頻度が激減しているのがわかる。

 

改善したポイントを尋ねたところ、顆粒だしを使うのをやめ、昆布や鰹節などから自分でだしを取るようにしたこと、野菜はなるべく有機のものを買うようにしたこと、加工食品は極力減らしていったこと、肉や魚は1食につき80gくらい食べていたのを50gくらいに減らしたこと、市販のお菓子は週1回程度に抑え、果物やナッツなどをおやつにするようにしたことだという。玄米菜食はできない、という人もいるだろうが、そのくらいなら誰でもできそうだ。それで、こんなに大きな効果があるとは。

 

最後のパネルディスカッションでは、司会の「今後TPPで遺伝子組み換え食品が入ってくるんじゃないか、と不安に思われる方もいると思いますが、どうですか?」というような質問に思わず「もう、入っているんです!」と不規則発言してしまう。が、あたたかく、発言の機会を与えていただき、感謝。

参加者からの発言にもいろいろ興味深いものがあった。特に印象に残ったのは、給食として牛乳を提供しないと、(保育園には?)補助金が出ない、という制度があるがために、給食から牛乳を外せない、というような事情もあるとのこと。

既得権益を何が何でも守ろうとする業者と、それに篭絡されている役所、官僚。そこを突き崩すのはものすごーく難しいらしい。

「企業に勤めてたからよくわかるけどさ、銀座の高級料理屋やバーで接待しますと言えば、あいつら(官僚)ホイホイ出てくるもん。(業者に便宜を図ってくれるようにするのは)簡単だよ」というのは定年退職した元企業戦士の向達さん。うーむ、悔しい。

明るい話としては「神奈川県が『地元の食材を給食に使う』と宣言したところ、農薬の使用量が激減した」という話を司会の数原が紹介してくれた。自分の子どもや孫が食べるかもしれない、と思うと農薬を使えなくなるらしい。「顔の見える関係」というのは重要なんだ、と改めて実感。

食事こそが健やかな体をつくり、健やかな心をつくる。日本の食が乱れきっている現在、学校給食の改善には日本の未来がかかっているといっても過言ではない。ぜひ今後の取り組みに期待したい。

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