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稲のタネまき

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2017.5.13、栃木県の民間稲作研究所が主催する「有機稲作チャレンジプロジェクト」に参加して、お米のタネまきをしてきました。

指導してくださる稲葉光圀氏は、米ー麦ー大豆の輪作による、効率的な有機農業を提唱していらっしゃいます。

まず米は5月にタネまきし、6月半ばに田植え、そして秋に収穫。

秋に米を収穫したら、その跡に麦のタネをまき(10月頃)、晩秋~初夏(5~6月頃)に収穫。

麦を収穫した後に大豆のタネをまき(6月下旬~7月)、大豆は11月頃に収穫。

というふうに、2年間で3作を行います。

最近は9割以上の農家が4月にタネをまき、5月の連休の頃に田植えをしてしまいますが、昔は旧暦の5月、つまり新暦では6月頃に田植えをするのが一般的でした。今では珍しい6月の田植えは、本来の日本の稲作のやり方なのです。

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↑民間稲作研究所の麦畑

ずっと水田にしていると、湿地を好む宿根性の雑草(クロクワイ、オモダカ、ヒルムシロなど)が大量に繁殖し、それを取る手間がとても大変になるのですが、稲を刈った後で畑にしてしまうと、それらの雑草が一旦死に絶えるため、次に再び水田にしたときには、除草がとても楽なのだそうです。だから、除草剤の必要はありません。

そこで、米の次には同じ場所を畑にして、麦をつくります。小麦はパンやうどんに。大麦は麦茶、押し麦、そしてビールの原料にもなります。うどん用には中力(日本の在来小麦はこのタイプ)の「祝いの大地」などの品種を栽培。パン用には強力(たんぱく質含有濃度が高い品種、12.6%以上)の「ゆめかおり」などの品種を栽培するそうです。

また、大豆には土を肥やす効果があります。肥料の3大成分は「窒素」「リン酸」「カリ(=カリウム)」。そのうちの「窒素」は空気中の4/5を占めるにもかかわらず、そのままでは植物は利用できません。その窒素を植物が利用できる形へと固定してくれるのが、大豆などのマメ科植物の根に付く「根粒菌」です。このマメ科植物の窒素固定能力を利用する緑肥植物としてよく利用されるものにクローバーがあるのですが、大豆の窒素固定能力はクローバーの6倍にものぼるそうです(クローバー10アール当たり4kgに対し、大豆10アール当たり6kg)。大豆が土を肥やしてくれるので、外部から肥料を投入する必要もなくなります。

水田ー畑へと頻繁に転換することで除草剤を使わずに済み、大豆が土を肥やしてくれるので、肥料もあまり必要なくなり、その他の農薬も使わずに、しっかりと収量をあげることができる、というのがこの農法の基本です。

ちなみにホクレン(農協の連合会)が小麦を引き取るときの条件は、7回以上農薬をかけたという証明があることだそうです。ユキグサレ病殺菌剤、節間伸長抑制剤、除草剤、赤カビ病防除剤などなど……。農協が勧める農法に従えば、小麦10町歩(≒1ヘクタール)あたりの農薬代は40万円もかかり、それを売って得られる代金も約40万円。政府からの補助金のみが利益になる、というあまりにも歪な構造になっているとのこと。これはひどい……。

無農薬で栽培すれば、農薬代40万円がまるまる節約できるわけですから、農家の収入アップにかなりの貢献になります。

農薬による環境への負荷を低減し、農家の労力を省き、経費を抑え……といいことづくめのように思えるこの農法。まだまだ勉強し始めたばかりですが、これから1年、要所要所を体験しつつ、しっかり見守りたいと思います。

先日は、タネまき機を利用したお米のタネまきを行いました。

ベルトコンベヤー式のタネ撒き器には、パレットを置くところ→土を入れる所→タネを落とすところ→タネの上に土をかぶせる所があり、できあがったパレットは人の手で他所の場所に移動させます。

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↑タネまき機にパレットをセットします

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↑苗用の土、こちらも有機仕様です

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↑中央が稲葉氏。右で腕組みしているのは14歳の少年。高校に行くより農家になりたいんだとか。

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↑種樅を入れる稲葉さん

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↑有機の籾。これも稲葉さんのところで採種したものです

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↑パレットに土が入り、次にタネが2-3粒落とされます

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↑タネの上にも土がかぶさり、できあがったパレット。人の手で別の場所に移動させます。

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↑水田の脇にはきれいな杜若?が花を咲かせていました。

美絵似顔絵イラスト
自然療法家 安田美絵

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