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Q1:「マクロビオティック」イコール「玄米菜食」と考えていいですか?

Q2:マクロビオティックの食事は、何が特徴なのですか?

Q3:「一物全体」とはどのような意味ですか?

Q4:「身土不二」とはどのような意味ですか?

Q5:「陰陽調和」とはどのような意味ですか?

Q6:マクロビオティックで生理が止まるという話をよく聞くのですが?

Q7:魚を食べてもいいということですが、どの程度の量ならいいのですか?

Q8:魚はどんな魚でもいいのですか?

Q9:マクロビオティックで食べていけないものは何ですか?

Q10:玄米菜食にしてからアトピーが悪化したような気がするのですが…

Q11:白砂糖は体によくないと聞きました。はちみつやメープルシロップならいくら食べても平気なのでしょうか?

Q12:甘いもの(砂糖入りのお菓子)がどうしてもやめられません。どうしたらいいでしょう?

Q13:肉や卵、乳製品などは食べてはいけないのですか?

Q14:マクロビオティックでは、お酒は飲んでもいいのですか?

Q15:玄米によるミネラル不足を防ぐため、発芽玄米にするといいと聞いたのですが…

Q16:玄米によるミネラル不足を克服するために、雑穀がいいと聞きました。どうしてですか?

Q17:乳製品が大好きです。マクロビオティックではどうして乳製品は体に悪いとされているのですか?

Q18:わたしは玄米が大好きなのですが、夫が玄米を食べたがりません。

Q1:「マクロビオティック」イコール「玄米菜食」と考えていいですか?
A1:必ずしもそうとは限りません。健康な人であれば少々の魚を食べるほうが自然だ、と考える先生もいますし、ルナでも同じ考えをとっています。また、玄米が体質に合わない人もいるので、ルナではどうしても玄米でなければいけない、とは決して考えていません。

Q2:マクロビオティックの食事は、何が特徴なのですか?
A2:マクロビオティックの三大原則は「一物全体」「身土不二」「陰陽調和」です。それを一言でまとめると「宇宙の摂理に則った食事」になるのですが、平たい言葉でいえば、「自然と調和した食事」ということもできるでしょう。

Q3:「一物全体」とはどのような意味ですか?
A3:生きものはすべて、全体が揃ってはじめて調和がとれた完全なもの、命あるものとなります。だから、加工して部分だけ取り出して食べるのでなく、なるべく丸ごと全部食べましょう、ということです。大根なら根っこだけでなく、葉っぱも食べる、また皮もむかずに食べるほうがよいのです。だからお米も、精製して白米にしてしまうよりも、玄米のまま食べた方がよい、ということになります。
しかし、お米の場合は、もみ殻を食べるわけにはいきませんし、ましてや稲わらや稲の根っこを食べるわけにはいきません。「なるべく丸ごと」を目指しつつ、あくまでも現実に即して、食べられる範囲で食べることになります。
ですから、玄米が体質に合わない人が無理に食べる必要はないのです。

大根葉付-01

Q4:「身土不二」とはどのような意味ですか?
A4:身体と土(=それを取り巻く環境)とは二つに分けることはできない、つまり一体である、という意味です。そのため、自分の体調をその環境に調和するようととのえるためには、その土地で、その季節に採れるものを食べることが大切になります。
具体的には、日本人なら日本で採れるものを食べること。熱帯で採れる野菜や果物などはなるべく食べないことです(真夏以外は)。同じ日本で栽培されたものでも、温室などで栽培された季節外れのものではなく、本来その季節に採れるものを食べることが重要です。
現代ではスーパーに行けば、1年中同じような野菜が並んでいますから、本来の旬を勉強して知っておくことが必要になります。

身土不二

Q5:「陰陽調和」とはどのような意味ですか?
A5:「陰陽」は、古代中国で生まれた哲学です。万物すべてが「陰」「陽」どちらかの性質を帯びており、人間の体質にも、また食べものにも陰陽があります。詳しい説明は難しくなるので省きますが、問題なのは、体が陰性に傾きすぎると免疫力が下がって病気にかかりやすくなる、ということです。そのため、個々の食材の陰陽を知って、中庸か、やや陽性寄りくらいになるようにメニューを構成することが、健康を保つ鍵となります。
陰陽は現代人にはなじみのない考え方なので、はじめは難しいと感じられるでしょうが、この考え方をマスターすると、今までなんとなく見過ごしていたさまざまな現象にはっきりとした理由があることが見えて来て、目からうろこが落ちる思いがすることでしょう。

Yin & Yang - Day & Night

Q6:マクロビオティックで生理が止まるという話をよく聞くのですが?
A6:たしかに、厳格な玄米菜食をすることで、順調だった生理が止まってしまう人は時々います。マクロビオティックの指導者の中には「これは一時的な好転反応(体がよい方向へ変わるとき、一時的に悪くなるようにみえる現象)だから、心配する必要はない。数か月で再開するから大丈夫」などと言う人が多いようです。また、陽性すぎると女性らしさが失われて生理が止まってしまうので、もう少し陰性な食事を心がけるように、と指導されることもあります。実際それだけで生理が再開する例もあるようです。
しかし1年待っても、2年待っても再開しない、という人も中にはいます。完璧な玄米菜食というのはやはり自然な食事ではないので、体質によっては正常な生殖能力を保てない場合があるのです。
そんな人は、多少の魚介類をしばらく食べることで、あっさりと生理が再開する場合があります。玄米をやめて雑穀や七分づき米・胚芽米などに切り替えることで、よくなることもあります。
玄米菜食で生理が止まってしまう人は、玄米菜食にこだわることはやめることをおすすめします。生理は数か月後に再開する可能性もありますが、再開しない可能性もあります。生理が長期間止まることは、決していいことではありません。子宮などの生殖器官が退化してしまうからです。
注1:ガンなどの重大な病気の治療のために玄米菜食をしている場合は、この限りではありません。リスクとメリットを秤にかけてご自身で判断してください。
注2:豆乳ヨーグルトには生殖能力を高める働きがあり、以前は魚を食べないと必ず生理が止まっていたのに、豆乳ヨーグルトを食べるようになってから、完全菜食でも生理が来るようになった、という人もいます。体質は人によって違いますので、すべての人にあてはまるわけではありませんが、試してみる価値はあるでしょう。

Q7:魚を食べてもいいということですが、どの程度の量ならいいのですか?
A7:体質によって、まちまちです。1週間に200g程度までならほとんどの人が食べても大丈夫。わたしが筋反射テストで検査した限りでは1週間に500g程度までは大丈夫という人が一番多いように思います。ちなみに、さんま1匹は100g程度ですので、さんまを1匹丸ごと週に2回食べる、あるいは2人で分け合って週に4回食べる、という程度は、ほとんどの人が大丈夫ということになります。

さんま

Q8:魚はどんな魚でもいいのですか?
A8:一般的にマクロビオティックでは白身魚のほうがいいとされています。赤身の魚に比べると中庸に近いから、ということもありますが、赤身魚は体を酸性化する力が強く、病気の人にとっては病気を悪化させる方向に作用するからです。
けれども赤身魚は白身魚と比べて鉄分がずっと多く、貧血気味の女性の鉄分補給には役立つとも考えられます。ですので、病気の人には白身魚をおすすめしますが、健康な人は、赤身魚も含めて魚介類をいろいろ食べてよいでしょう。

Q9:マクロビオティックで食べていけないものは何ですか?
A9:マクロビオティックは宗教ではないので、絶対に食べていけないというものは何もありません。どんな食べものも、ときには薬になり、ときには毒になるものです。たとえば、水も、塩も、人間が欠くことのできないものですが、一度に無理やりバケツ何倍も水を飲んだり、カップ1杯の塩を摂ったりすれば、病気になったり、死んでしまったりするかもしれません。すべては時と場合と分量と、その人の体質によります。

Q10:玄米菜食にしてからアトピーが悪化したような気がするのですが…
A10:マクロビオティックの指導者の中には、「好転反応なので、続けていればそのうちよくなります」という人がいます。しかし、わたしはこれは、玄米のデトックス(排毒)作用による亜鉛不足から起きる現象だと考えています。
玄米はデトックス作用が強く、体の中のさまざまな有害物質を絡め取って、体外へ排出してくれます。しかし、その過程で体に必要なミネラルまで一緒に排出してしまい、ミネラル不足に陥って逆に体調が悪くなる人がいるのです。
アトピー性皮膚炎の人の多くは、皮膚の修復を助けるミネラルである亜鉛が欠乏しています。玄米を食べることで、亜鉛の排出が促進され、もともと足りなかった亜鉛がさらに不足するようになって、アトピー性皮膚炎が悪化していると考えられます。
そういう場合は玄米をやめ、胚芽米や白米を主食にすることをおすすめします。雑穀は亜鉛が豊富なものが多いので、雑穀をたっぷり混ぜるとさらによいでしょう。

Q11:白砂糖は体によくないと聞きました。はちみつやメープルシロップならいくら食べても平気なのでしょうか?
A11:基本的に甘ければ甘いほど陰性だと考えてください。はちみつもメープルシロップもてんさい糖も「白砂糖よりはマシ」という程度に思っておきましょう。マクロビオティックでは、それらよりも体にやさしい甘みとして、米飴(米からつくった水あめ)や甘酒(米と麹だけでつくった発酵食品)をおすすめしています。でも米飴でも甘酒でも、あるいはレーズンなどのドライフルーツでも、大量に食べれば、やはり体が陰性に傾きすぎて免疫力は低下します。
スイーツの甘みはなるべく控えめに、量はほどほどにとどめるのが健康を保つ基本となります。

砂糖ショートケーキ

Q12:甘いもの(砂糖入りのお菓子)がどうしてもやめられません。どうしたらいいでしょう?
A12:白砂糖は極陰性です。陰と陽はひきつけあうので、陽性の肉や魚、卵、チーズなどを食べれば食べるほど、甘いものも食べたくなります。まずはこうした動物性食品を極力減らすようにしましょう。
しかし甘いもの好きの女性の中には、動物性食品はやめることができても、お菓子はやめることができない、という人も多いようです。砂糖には麻薬のような習慣性・依存性があるためでしょう。
その場合は、米飴や甘酒、レーズン、さつまいも、かぼちゃなど、より穏やかな甘みを使ったマクロビオティックスイーツに切り替えましょう。体への負担を減らすことができます。
また、「甘い野菜のスープ」(かぼちゃ、にんじん、キャベツ、玉ねぎという4種の野菜でつくります)は、血糖値を安定させるのに大きな作用があり、甘いものへの欲求を減らしてくれる働きもあります。数か月毎日飲み続けると、甘いお菓子の摂取量を大幅に減らすことができるでしょう。このスープのつくり方も教室で実習します。

かぼちゃ さつまいも

Q13:肉や卵、乳製品などは食べてはいけないのですか?
A13:健康な人であれば、月に数回、肉などを食べても問題ありません。月2~3回なのか、4~5回なのか、どこまで大丈夫かはその人の体質によります。ただし治したい病気がある人は、一時的に菜食にしたほうが治りは早くなります。

肉(赤身    卵2個  チーズ

Q14:マクロビオティックでは、お酒は飲んでもいいのですか?
A14:お酒は陰性なので、そのことをわきまえたうえで、それぞれの体質に応じた対応を考えましょう。たとえば ①陰性のお酒とバランスを取るために、酒の肴に陽性の魚を食べる ②自分は陽性体質なので、陰性の酒を飲んでもバランスが崩れることはない。なので気にせず飲む。 ③自分は陰性体質なので、酒を飲むと体が陰性に傾きすぎてしまうが、かといって陽性の魚などを食べると腎臓や皮膚などに悪影響が出てしまう。だから、バランスを取るためにお酒も一切飲まない
などの選択肢が考えられます。いずれにせよ、もちろん飲み過ぎは禁物です。たまに、ほどほどにとどめましょう。

お酒

Q15:玄米によるミネラル不足を防ぐため、発芽玄米にするといいと聞いたのですが…
A15:玄米のフィチン酸が体の中の有用ミネラルまで排出してしまうという問題を防ぐためには、玄米を発芽させればいい、という人がいます。発芽までいかなくても、一晩浸水させてから炊けばよい、という人もいます。
しかし、どうやって食べても、やはり玄米による体調悪化は防げなかった、という人もいます。それぞれの体質によりますので、自分で試してみる以外ないでしょう。
ルナでは以前はリマで習った通り、玄米は洗ってすぐ炊くようにしていましたが、最近は半日程度浸してから炊く方法を紹介しています

ご飯と米

Q16:玄米によるミネラル不足を克服するために、雑穀がいいと聞きました。どうしてですか?
A16:玄米を食べ続けることで不足しがちになる代表的なミネラルが亜鉛ではないかとわたしは考えていますが、七分づき米と比較した亜鉛含有量は、ひえで1.2倍、きびで1.5倍、あわで2倍となっており、雑穀がミネラル豊富であることがわかります。
こうした科学的データに頼らずに何か判断しなければならないときは、常に「何が自然か」を考えてみるといいでしょう。日本人がお米を精白して食べるようになったのは江戸時代中期以降といわれていますので、やはり玄米を食べるのが、日本人にとって自然なのではないか、とわたしも一時期は考えていました。しかし、さらによく考えてみると、日本人が米だけでお腹を満たせるようになったのは、つい最近のこと。昔から、日本人は米が腹いっぱい食べたい、と思いながらも、米だけでは足りずに、麦を食べたり、あわやひえやきびを食べたりしてきた歴史のほうがずっと長かったはず。米だけでお腹を満たすことができたのは、一部の貴族だけだったのではないでしょうか。
そのことに気づいたとき、「雑穀をたっぷり主食に取り入れてこそ、日本人にとっての自然な食事と言えるのではないか」と思い至ったのです。
わたしはかつて玄米の長期連用によるミネラル不足のせいで過食に陥っていたとき、あわ、きびなどの雑穀を食べると、必要としているミネラルが体全体にみるみる沁み込んでいくかのような感覚があり、満腹感で満たされて、過食が止まる、という経験をしました。そうした実体験とも照らし合わせ、上記のような考え方に確信を持っています。

ひえ-01きび-01

Q17:乳製品が大好きです。マクロビオティックではどうして乳製品は体に悪いとされているのですか?
A17:人間の赤ちゃんがご飯粒を食べないのはどうしてでしょう? それは歯がなくて噛めないからです。哺乳類の赤ちゃんはみなお母さんのお乳を飲みますが、歯が生えてきたら噛んで食事をするようになるのが自然なのです。人間が社会人にまでなって、まだお母さんのおっぱいを飲んでいたらどうでしょう? ゲ、変態!と思うのではありませんか? 歯が生えた大人がお乳を飲むということは、それほど不自然な行為だということです。ましてや異種の生物である牛のお乳を飲むなどということは、さらに不自然な行為といわざるを得ません。
牛乳は本来牛の子どもの飲み物ですので、人間はそれを完全に代謝することができず、体の中に老廃物を残しがちです。それが特にたまりがちなのが乳房です。牛乳は乳房から出るものなので、生まれ故郷に近い懐かしさを覚えるのか(?)、そこに居ついてしまいがちなのです。すると乳腺がつまって母乳の出が悪くなったり、乳腺炎、乳がんなどにかかりやすくなります。
乳房と近い位置にある心臓にも負担がかかり、心臓肥大や不整脈になりやすくなります。また乳房と同様生殖器官である子宮や卵巣にも悪影響を与えがちで、卵巣嚢腫や子宮筋腫、前立腺ガンなどが引き起こされやすくなります。

牛乳や乳製品はあくまでも嗜好品と位置付けて、たまの楽しみにとどめましょう。

乳を飲む子牛ー小                                                            牛乳を飲む人間の男

Q18:わたしは玄米が大好きなのですが、夫が玄米を食べたがりません。
A18:無理に玄米を食べさせる必要はありません。強制すると逆に反撥が強くなることも考えられますし、必ずしもすべての人にとって玄米が最善であるとは限らないからです。ただし糠に含まれる豊富な栄養をすべて削り落として白米にしてしまうのはあまりにももったいないので、ほとんど白米と食感の変わらない胚芽米や七分づき米などに徐々に切り替えていくとよいでしょう。

白米ご飯

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